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これから家を建てようと考えている方にとって、最近とても気になるのが「住宅ローンの金利」ではないでしょうか。
2026年9月、日本の長期金利の代表的な指標である10年国債の利回りは3%台まで上昇し、約30年ぶりの高い水準になりました。
ニュースを見ると、
「住宅ローンも、もっと上がるの?」
「今、家を建てても大丈夫?」
「変動金利と固定金利、どちらを選べばいい?」
と不安になる方もいらっしゃると思います。

でも、金利が上がっているからといって、
「今は家を建てない方がいい」
という単純な話ではありません。
これから大切になるのは、
いくら借りられるかではなく、いくらなら無理なく返せるのか。
そして、
金利が上がった場合、どこまでなら自分たちの家計で受け止められるのか。
ここまで考えて住宅ローンを選ぶことです。
銀行で住宅ローンの相談をすると、一般的には源泉徴収票に書かれている「総支給額(額面年収)」をもとに審査が行われます。
例えば世帯年収600万円のご家庭でも、勤務先や年齢、他の借入などの条件によっては、3,500万円、4,000万円、それ以上を借りられるケースがあります。
ここで知っておいてほしいのが、
「銀行が貸してくれる金額」と「家庭が安心して返せる金額」は、必ずしも同じではない
ということです。

年収600万円だからといって、年間600万円を自由に使えるわけではありません。
給料からは、
社会保険料
所得税
住民税
などが引かれます。
実際に家族が生活に使えるのは、その後に残った「手取り」です。
だから住宅会社と資金計画をするときには、銀行と同じように額面年収だけを見るのではなく、
実際に毎月いくら家計に入ってくるのか
を見ることがとても大切です。
例えば現在の家賃が月10万円で、
新しい家の住宅ローンも月10万円だったとします。
すると、
「今と同じだから大丈夫そう」
と思いますよね。
ところが持ち家になると、住宅ローン以外にもお金が必要になります。
固定資産税があります。

火災保険や地震保険もあります。
10年、20年と暮らせば、給湯器やエアコンなども交換します。
さらに長く暮らせば、外壁や屋根などのメンテナンスも必要になります。
ですから、本当の意味での住居費は、
住宅ローン
+固定資産税
+火災・地震保険
+将来の修繕費
で考える必要があります。
例えば、
住宅ローン 10万円
税金・保険・修繕積立 3万円
なら、
「毎月13万円を家のために使っている」
と考える方が実際の家計に近くなります。
住宅費について、
「手取り収入の30%くらいまで」
という目安を聞くことがあります。
これは一つの参考になります。
ただ、
30%を超えたら危険、29%なら安心
ということではありません。
同じ年収600万円でも、
子どもがいないご夫婦と、子どもが2人いる家庭では違います。

車が1台の家庭と2台必要な家庭でも違います。
土地を親御さんから譲ってもらえる家庭もあります。
すでに教育資金を準備している家庭もあります。
ですから、
30%程度なら比較的余裕を持ちやすい。
30~35%くらいなら、家計の中身を確認しながら検討する。
私は、そのくらいの捉え方が現実的だと思っています。
大切なのは数字だけではありません。
住宅ローンを払ったあとに、
食事をして、
車を維持して、
子どもの教育費を払い、
たまには家族旅行にも行き、
将来のための貯金もできる。
そんな普通の暮らしが続けられるかどうかです。
ここからが、2026年9月以降の住宅ローン選びで特に大切なところです。
住宅ローンには大きく分けると、
変動金利
と
固定金利
があります。
実はこの二つは、同じように動いているわけではありません。
変動金利は、主に銀行の短期プライムレートなどを基準として決められます。
短期プライムレートは、日銀の政策金利の影響を受けます。
つまり簡単に言えば、
日銀が金利を上げる
↓
銀行がお金を貸すときの短期金利も上がる
↓
住宅ローンの変動金利にも影響する
という流れです。

2026年9月、三菱UFJ銀行の新規住宅ローンでは、変動金利の適用金利の一例が年1.195%となっています。同行は短期プライムレートの引き上げを受け、9月から住宅ローンの変動金利の基準金利を見直しました。
ですから、
「変動金利はずっと低いまま」
とは考えない方がいいでしょう。
ただし、それでも現在は固定金利より低い金利で借りられるケースが多いのも事実です。
ここが、変動金利の大きな魅力です。
一方の固定金利は、10年国債などの長期金利の影響を受けます。
長期金利は、
「これから物価はどうなる?」
「景気はどうなる?」
「将来、日銀はもっと利上げするのでは?」
といった市場の予想まで含めて動きます。
そのため、一般的には、
固定金利が先に上がり、あとから変動金利が上がる
ということがあります。
2026年9月のフラット35では、返済期間21~35年の最も多い金利が年3.46%です。
フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する住宅ローンで、借入時に決まった金利が最後まで変わりません。
例えば35年間借りるなら、
「35年後まで返済額が分かっている」
という安心があります。
ここは多くの方が迷うところだと思います。
2026年9月の一例では、
三菱UFJ銀行の変動金利 年1.195%
に対して、
フラット35の最頻金利 年3.46%
です。
かなり違います。
ですから、
「金利が上がりそうだから、全員固定金利にしましょう」
というのも、私は少し違うと思っています。
固定金利は、言ってみれば、
「将来金利が上がっても返済額が変わらない安心を買う」
住宅ローンです。

今の変動金利より多く利息を払う代わりに、
「もし金利が3%になったら」
「4%になったら」
と心配しなくていい。
つまり固定金利と変動金利では、
どちらが得かだけではなく、誰が金利上昇のリスクを負うのか
が違うのです。
固定金利なら、金利上昇リスクを住宅ローンの商品側で固定します。
変動金利なら、そのリスクを自分の家計で引き受けます。
私は、変動金利そのものを避ける必要はないと思っています。
例えば、
借入額が年収に対してそれほど大きくない。
住宅ローンを払っても毎月しっかり貯金できる。
手元にある程度まとまった預貯金がある。

夫婦共働きで収入にも余裕がある。
金利が1%、2%上がっても家計が苦しくならない。
必要なら繰上返済できる。
こういうご家庭なら、変動金利を利用して当初の返済負担を抑える考え方は十分あります。
大切なのは、
今の1%台の金利だけで返済計画をつくらないこと。
例えば変動金利を選ぶなら、
「もし2%になったら?」
「3%になったら?」
という返済額も一度計算してから決める。
これだけでも住宅ローンのリスクはかなり見えやすくなります。
一方、
借入額が比較的大きい。
子どもがまだ小さく、これから教育費が増える。
奥様が出産や子育てで働き方を変える可能性がある。
毎月の家計にそれほど大きな余裕がない。

住宅ローンの返済額が上がること自体が不安。
こういうご家庭なら、固定金利を検討する意味は大きいと思います。
特に、
「今の変動金利なら払えるけれど、2%上がったらかなり苦しい」
という住宅予算なら、
住宅ローンの商品を考える前に、家の総予算そのものをもう一度確認した方がよいかもしれません。
ここは、今後特に知っておいてほしいところです。
よく、
「とりあえず変動金利で借りて、金利が上がってきたら固定に変えればいい」
という考え方があります。
もちろん、その方法がうまくいくこともあります。
ただし問題があります。
先ほど説明したように、
固定金利は長期金利の影響を受け、
変動金利は日銀の政策金利などの影響を受けます。
一般的には、将来の利上げを予想して固定金利の方が先に動くことがあります。
つまり、
「変動金利がかなり上がってきた。そろそろ固定にしよう」
と思ったときには、
固定金利はすでにもっと上がっている
可能性があるのです。
2026年9月は、まさにこの違いを理解して住宅ローンを選ぶことが重要になってきた時期だと思います。
もう一つあるのが、
「10年間だけ固定する住宅ローン」です。
変動より安心で、35年固定より金利が低い。
一見するとちょうどよく感じます。
ただし、10年後には住宅ローン残高がまだかなり残っています。

その時の金利が現在より高ければ、11年目から返済負担が増える可能性があります。
例えば2026年9月の三菱UFJ銀行では、新規借入の一例として、
変動 1.195%
固定10年 3.63%
全期間固定31~35年 4.30%
となっています。
10年固定を選ぶなら、
「10年間安心だから」だけでなく、「10年後にどうするか」
まで考えておくことが大切です。
これから住宅ローンを選ぶ方には、民間銀行だけでなく、フラット35も一度比較してみることをおすすめします。
2026年9月のフラット35は、21~35年の最頻金利が3.46%です。
また、子育て世帯やZEHなど一定の条件を満たす住宅では、金利引き下げ制度があります。
例えば条件によって合計4ポイントの金利引下げが適用されるケースでは、2026年9月は当初5年間2.46%、6年目以降3.46%という例が住宅金融支援機構から示されています。
高性能な住宅を建てる場合には、
民間銀行の変動金利だけを見るのではなく、フラット35の金利優遇まで含めて比較する
ことが大切です。
例えば、
夫婦+子ども2人
車2台
世帯年収600万円
という家庭を考えてみます。
ここで、
「年収600万円なら住宅ローンは2,000万円まで」
というような決め方をする必要はありません。
それでは安全を考えすぎて、せっかく実現できる家づくりまで諦めてしまう可能性があります。
一方、
「銀行が4,000万円貸してくれるから4,000万円借りよう」
という考え方も危険です。

大切なのは、その間です。
例えば3,000万円借りるなら、
今の返済額だけではなく、
金利が上がった場合の返済額
教育費
車の買い替え
老後の積立
現在の預貯金
夫婦の今後の働き方
まで一緒に考えてみる。
その結果、
「これなら大丈夫そう」
となれば、3,000万円借りること自体が悪いわけではありません。
住宅ローンは、年収だけで決めるものではないのです。
土地や建築費が上がり、さらに住宅ローン金利まで上がると、
「予算を合わせるには住宅性能を落とすしかない」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、私たちはそこは慎重に考えた方がよいと思っています。
断熱性能を落とせば、冬の寒さや夏の暑さ、毎月の光熱費にも影響します。
耐震性能は、大きな地震が起きてから高めることはできません。
耐久性を落とせば、将来のメンテナンス負担が増える可能性もあります。

こうした部分は、完成後に直そうとすると大きなお金がかかります。
それなら、
30坪を26坪にする。
長い廊下をなくす。
ほとんど使わない客間をつくらない。
収納を必要以上につくらない。
土地の希望エリアを少し広げてみる。
そんな工夫があります。
家が4坪小さくなっても、設計次第では暮らしやすさを落とさないことは十分できます。
むしろ、
掃除が楽になる。
冷暖房する空間が減る。
外壁や屋根の面積も小さくなる。
将来のメンテナンス費も抑えやすくなる。
というメリットもあります。
これから住宅ローンを選ぶなら、私は次の3つを大切にしてほしいと思います。
一つ目は、今の金利だけで住宅予算を決めないこと。
変動金利なら、もう少し金利が上がっても払えるか確認します。
二つ目は、変動か固定かを「どちらが得か」だけで選ばないこと。
返済額が変わらない安心を優先するのか、金利上昇を受け止める余力があるから当初の低金利を活用するのか。
家庭によって答えは違います。
三つ目は、住宅ローンだけでなく家全体の予算を見直すこと。
金利上昇が心配なら、住宅性能を簡単に落とすのではなく、土地や建物の大きさも含めて調整できないか考えてみる。
ここがとても大切だと思います。
住宅ローンを組むために家を建てるわけではありません。
家族が、
夏も冬も快適に暮らし、
子どもを育て、
休日には出かけ、
たまには旅行もし、
将来のための貯金もしながら、
20年、30年、40年と安心して暮らす。
そのために家を建てるはずです。

だからこそ、
銀行はいくら貸してくれるのか
だけではなく、
私たちは毎月いくらなら気持ちよく返していけるのか
を最初に考えてみてください。
2026年9月以降は、金利そのものを当てることよりも、
金利がどちらに動いても困らない住宅予算をつくること
の方が大切だと思います。
変動金利を選ぶことが危険なのでもありません。
固定金利を選べば必ず得をするわけでもありません。
家計に余力があるなら変動金利。
返済額を確定させることを優先するなら固定金利。
そして、どちらを選んでも無理なく払える住宅総予算にする。
この順番で考えることが、これからの住宅ローン選びではますます重要になってくると思います。