家族がいちばん長く過ごす場所、それが「家」です。ところが、家の中の事故で亡くなる人は、交通事故で亡くなる人よりずっと多いのです。

厚生労働省の統計(2024年)では、家の中の事故で亡くなった人は17,320人。交通事故の3,511人と比べると、約4.9倍にもなります。
グラフの濃い部分を見てください。家の中の事故で亡くなる人の約9割は65歳以上の方です。とはいえ、小さな子どもの階段や窓からの転落もあり、「お年寄りだけの話」ではありません。
家の中の事故の多くは、運が悪かったから起きるのではありません。
家の「つくり」を少し工夫するだけで減らせるものがたくさんあります。そのヒントになるのが、この「安全持続性能」という考え方です。
安全持続性能とは、作業療法士として病院で11年間リハビリにたずさわった満元貴治さん(ヨシローの家/株式会社HAPROT)が提唱している、間取りづくりの考え方です。
家でケガをして、大好きな家に帰れなくなった人をたくさん見てきた経験から生まれました。
家の性能というと、「省エネ(断熱)」や「耐震」がいつも話題になります。
安全持続性能は、それと同じように設計のときに当たり前に考えるべき、3つ目の性能という位置づけです。
中身は大きく2つに分かれます。
つまり「今の暮らしやすさ」だけでなく、「10年後、30年後も安心して住めるか」まで考えた家づくりです。赤ちゃんからお年寄りまで、どの世代にも関係する話と言えます。
家の中の事故でいちばん身近なのが「転ぶ」「落ちる」です。東京消防庁のまとめでは、高齢者が救急車で運ばれた日常生活の事故のうち、この2つで約9割を占めています。

では、家のどこで転んでいるのでしょうか。
意外かもしれませんが、いちばん多いのは階段ではなく、ふだん過ごす部屋や寝室です。夜中にトイレへ起きたとき、カーペットの端や小さな段差につまずく。そんな「いつもの場所」こそ気をつけたいのです。
安全持続性能では、特に次のような場所に注目します。
家を建てたあと、暮らしは必ず変わります。子どもが生まれる、大きくなって巣立つ、親と同居する、自分たちが年をとる。
そのたびに大きなリフォームが必要な家だと、お金も手間もかかってしまいます。
持続設計のポイントは、「今」も「将来」も役に立つつくりにしておくことです。たとえば次のような場所です。
最後の「温度」は、家の断熱性能と深くつながっています。
冬の寒い脱衣所やお風呂は、急な温度差で体に大きな負担がかかる場所です。家じゅうの温度差を小さくすることも、立派な事故予防なのです。
間取りを考えるとき、次のことを家族で話し合ってみてください。チェックが少ないところが、見直しのヒントです。

家の中の事故は、交通事故よりもずっと多く起きています。でも、その多くは家のつくりを工夫することで減らせます。
安全持続性能は、「転ばない・落ちない」という安全と、「暮らしが変わっても住み続けられる」という持続の2つから家を見る考え方です。

省エネや耐震と同じように、間取りを決める段階で考えておくことが大切です。
家は、家族の毎日を何十年も支える場所です。デザインや広さだけでなく、「この家で、家族がずっと元気に暮らせるかな?」という目線で、ぜひ間取りを見直してみてください。気になることがあれば、お気軽にご相談ください。