9月に入り、台風の便りが増えてきました。

今年は8月下旬の時点ですでに21個の台風が発生していて、平年より速いペースです。9月に日本へ接近する数は2〜4個と、例年並みの見通しとされています。
数字だけを見れば「いつもの9月」です。
ただ、住まいづくりを考えている方にお伝えしたいのは、台風の“数”よりも“中身”が大事だということ。
そしてもうひとつ、この秋は電気代の面でも節目を迎えます。
昨年9月、暴風域を持たない、いわゆる「弱い台風」が上陸しました。ところが台風の東側で雲が急発達し、静岡県では非常に強い竜巻が発生。

住宅の被害は2,000棟を超え、静岡・神奈川・千葉などで最大2万世帯以上が停電しました。
「台風が弱いから大丈夫」が通じなかった事例です。
もうひとつ気をつけたいのが、台風から離れた場所でも大雨になること。
台風本体だけでなく、前線や流れ込む湿った空気が悪さをします。ここ岐阜のような内陸でも、進路図を見て「うちのほうには来ないな」と判断するのは早いのです。
遠い土地の話ではありません。
2018年9月4日の台風21号では、岐阜市で最大瞬間風速39.3メートルを観測しました。そして同じ月の末、9月30日の夕方から発生した台風24号による停電は、岐阜県を含む中部電力管内の5県で延べ119万戸にのぼりました。
強風で飛ばされたトタン屋根やビニールハウス、倒木による断線が各地で相次いだためで、平成に入ってから最大規模の停電です。

多くは数日のうちに復旧しましたが、山間部など一部の地域では、それより長くかかりました。
ひと月のうちに、暴風と大規模停電の両方を経験した9月でした。そして今週は、ちょうどその季節にあたります。
台風で怖いのは、風や雨そのものだけではありません。電気が止まったあとの時間です。
エアコンも扇風機も使えない。9月の残暑の中で、あるいは冬なら暖房のない部屋で、復旧を待つことになります。

このとき差が出るのが、家の断熱性能です。
断熱と気密がしっかりした家は、いわば魔法瓶のような状態です。外の暑さ・寒さが入ってくるスピードが遅いので、冷暖房が止まっても室温がゆっくりとしか変わりません。
断熱の弱い家では数時間で外気に近づいてしまう温度が、性能の高い家では半日以上かけて、じわじわとしか動かない。
非常用の電源やポータブル電源を備えるのは、もちろん有効です。ただそれは「電気を足す」対策。
断熱は「そもそも電気を必要としない時間を伸ばす」対策です。両方あるのが理想ですが、家そのものの性能は、買い足しがきかない部分でもあります。
ここで、もうひとつの話につながります。
今年の電気・ガス料金への国の支援は、7〜9月使用分が対象です。つまり、この秋には一区切りを迎えます。

加えて、燃料価格の上昇が電気料金に反映されるまでには数か月のタイムラグがあるため、春以降の値上がり分が、これから本格的に効いてくると見られています。
さらに、電気を使うすべての家庭が負担する「再エネ賦課金」は、2025年度が1kWhあたり3.98円、2026年度が4.18円と、過去最高を更新しています。
つまり電気代は、個人の努力だけでは動かしにくい要因で決まる部分が大きい、ということです。
だからこそ、「値上がりしても家計が揺れない家」をつくっておく意味があります。
ある調査では、電気代への対策として「我慢して節電する」と答えた方と、「生活の質を落とさない工夫をする」と答えた方が、ほぼ同じくらいいました。
私たちがおすすめしたいのは、後者です。
まとめると、こういうことになります。
防災のためだけに性能を上げるのは、少しもったいない話です。逆に、光熱費のためだけでもありません。
ひとつの投資が、日常の快適さと、いざというときの安心の両方に効いてくる。ここが、住宅性能のいちばん面白いところだと思っています。
最後に、お住まいの方がすぐに確認できることを挙げておきます。
そのうえで、これから家を建てる方、リフォームを考えている方は、ぜひ「停電しても、この家は何時間もつだろうか」という視点を持ってみてください。カタログの数値よりも、ずっと実感に近い問いだと思います。

ご相談はいつでもお気軽に。
台風の季節が、家のことを考えるきっかけになれば幸いです。