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  3. 作業療法士が教える「老後に後悔しない家づくりのポイント5つ」

家づくりを検討している方の中には、
「ここを終の住処にしたい」
「ずっと住み続けられる家にしたい」
そう願う方が多くいます。

しかし、“あること” を知らずに家づくりを進めると、
老後に使いづらい家になり後悔することがあります。

その “あること” とは──
人は必ず年をとり、身体機能が低下していくという事実です。

若い今の感覚だけで間取りを決めてしまうと、
病気やケガをしたとき、また老後に、
「この家、使いにくい…」
と感じてしまう可能性があります。

そこで、私たちがいつもお世話になっている作業療法士・安全な家づくりアドバイザーで株式会社HAPROTの代表でもある満元 貴治(活動名:ヨシロー)さんの11年間作業療法士として臨床に携わり、現在は安心・安全な間取り設計を伝えている立場から提唱されている、「老後に後悔しない家づくりのポイント5つ」を紹介します。


① トイレは最優先で考えるべき場所

間取りづくりで後回しにされがちなトイレ。
しかし、トイレは1日に何度も使う “絶対に我慢できない場所” であり、老後の生活の質を大きく左右します。

病院で住宅改修に携わっていた際、トイレが使いづらくて帰宅が困難になるケースが数多くあります。

特に重要なのが以下の2点です。

■ 引き戸にする

開き戸はバランスを崩しやすく、老後には危険。
また、後から引き戸に変更しようとしても「控え壁」が必要になり大掛かりな工事になります。

最初から引き戸一択です。

■ 便器の向きは「入口と平行」

便器が入口と直角になると、方向転換が180度必要になります。
老後、膝の痛みやバランス低下があると、この180度が非常に負担になります。

便器と入口が平行=方向転換90度で済む設計 にしてください。

トイレの使いやすさは、
「自宅に帰れるかどうか」
の大きな判断基準にもなるほど重要です。


② 室内干しスペースは必須、できれば1階に

「ベランダで干す計画だから室内干しはいらない」
という方は要注意です。

洗濯物を持って階段を上る行為は、
年齢とともに最も危険な日常動作のひとつ になります。

実際に病院でも、
「2階のランドリールームが使えなくなり、1階に干すスペースをつくった」
という住宅改修は非常に多くありました。

また共働き世帯が増えた今、
室内干しスペースは天候に左右されず24時間使える “生活の質を上げる設備” でもあります。

できる限り
1階に室内干しスペースを設けることで、現在も老後も使いやすくなります。


③ 椅子を使わないと届かない収納はNG

収納を多くつくりたくなる気持ちはわかります。
しかし、椅子や台に上らないと届かない収納は絶対に避けてください。

椅子の高さ(約40cm)は、階段2段分の高さと同じ。
片足で体を持ち上げる動作は、実はとても負担が大きく、バランスを崩しやすい危険な動作です。

椅子から落下して手首を粉砕骨折したり、
腰骨を折って寝たきりになるケースは数多く起きています。

「立ったまま手が届く高さだけ」
これが収納の基本です。


④ 用途が変えられる“ユーティリティルーム”をつくる

1階に寝室をつくる間取りは老後に最適ですが、
そのためのスペースがもったいないと思う方も多いはず。

そこでおすすめなのが、
用途を変えられるユーティリティルーム を1部屋つくること。

この部屋は、

  • 子どもの遊び部屋

  • 勉強部屋

  • 夫婦の趣味部屋

  • 将来の寝室

など、ライフステージに合わせて柔軟に使えます。

体の状況が変化したときにも、
1階にベッドが置ける場所があるという安心感はとても大きい です。


⑤ 玄関土間には“椅子を置けるスペース”を確保する

玄関は、家の中で 転倒事故が多い場所の第2位

靴の着脱は実は難しい動作で、
老後には特にバランスを崩しやすくなります。

上がり框に座って靴を履けばいいと思いがちですが、

  • かがむ動作が大きい

  • 高さが低く立ち上がりにくい

など、老後には不向きです。

そこで、
玄関土間に「椅子を置けるスペース」を確保
しておくことが非常に重要です。

さらに、
上がり框には 手すり があると上り下りが安全に行えます。

将来、介護保険で手すりを設置できる制度もありますので、
その点も覚えておくと便利です。


老後に強い家は、今も住みやすい家

老後に使いにくい家は、実は“今も使いにくい家”であることが多いです。

逆に、老後の暮らしを見据えた間取りは、
現役世代にとっても快適で安全 です。

後からのリフォームは費用も手間もかかります。
これから家づくりをする方はぜひ今回の5つのポイントを参考に、
今も将来も安心して暮らせる住まい を実現してください。

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