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  3. 長持ちする家の秘訣:外壁通気工法と通気胴縁の種類

住宅を長く快適に保つためには、
断熱や気密だけでなく「湿気対策」も重要です。

今回は、外壁通気工法の仕組みと、
その要となる「通気胴縁(どうぶち)」
について解説します。


外壁通気工法とは?

木造住宅のほとんどは「外壁通気工法」を採用しています。

これは、室内から壁内に侵入した湿気を、
外壁と構造材の間にある通気層
通して屋外に排出する仕組みです。

冬の室内は23℃・湿度50%とすると
絶対湿度は約8.7g/kg(DA)。

一方、外気が0℃・湿度70%なら
絶対湿度は約2.6g/kg(DA)です。

この差があるため、湿気は自然に
外へ移動しようとします。

理想は、室内の壁ボードの内側の
防湿シートで湿気の移動を止めて、
壁の中に入れないようにして、
壁体内結露を防ぎたいのですが、

実際には、防湿シートや断熱材で
完全に防ぐことはできません。

数パーセントの湿気は壁の中に侵入します。

そのわずかに壁内へ入り込む湿気を
通気層から排出する設計が不可欠なのです。


通気胴縁(どうぶち)の役割

外壁を固定するための下地材を
「通気胴縁」と呼びます。

これが通気層の空気の流れを左右します。

大きく分けると以下の4種類があります。

  1. 縦胴縁

    • 外壁材が横張りの場合に採用。

    • 上下方向の通気は良好だが、窓下部分で空気が滞留しやすい。

  2. 横胴縁

    • 外壁材が縦張りの場合に採用。

    • 横方向の通気は確保できるが、上下の通気は2mごとの隙間(3cm程度)しかなく不十分。

  3. 横胴縁(スリット型)

    • 胴縁そのものにスリットがあり、空気が流れるよう設計。

    • ただし、材料が特殊で採用例は少なく、通気性能も限定的。

  4. 縦横クロス胴縁

    • 縦と横を組み合わせた工法。

    • 上下・左右どちらの通気も確保でき、窓周りやコーナー部でも湿気が滞留しにくい。

    • 採用している工務店は非常に少なく、マニアックな仕様。


実験でわかった通気の実態

日経クロステックの記事でも検証されていますが、

  • 縦胴縁は窓下で湿気が滞留しやすい。

  • 横胴縁は上下の通気がほとんど機能していない。

つまり、日本の住宅の99%以上は縦胴縁か横胴縁を採用しており、湿気排出が十分ではない可能性があるというのが実情です。


防湿シートの重要性

通気層の働きが完全でない以上、そもそも壁内に湿気を入れないことが大切です。


そのために防湿シートは欠かせません。

一部では「吹付けウレタン」や「セルロースファイバー」を防湿シートなしで施工するケースも見られますが、これは湿気を壁内に通してしまい、結露や劣化につながりやすい方法です。当社では必ず防湿シートの施工を推奨しています。


長持ちする家のために

  • 縦胴縁だけ → 窓下で湿気が滞留

  • 横胴縁だけ → 上下の通気が不足

  • 縦横クロス胴縁 → 上下・左右ともに通気可能で理想的

当社では、家を長持ちさせるために「縦横クロス胴縁」を採用しています。湿気の動きを妨げない構造にすることで、壁内結露を防ぎ、家の耐久性を高めることができます。


まとめ

  • 外壁通気工法は住宅を長寿命化する基本技術。

  • 通気胴縁の選び方次第で湿気対策の効果が大きく変わる。

  • 防湿シートと縦横クロス胴縁の組み合わせが、最も確実な対策。

長く快適に住める家をつくるには、見えない壁の中の湿気対策こそがカギになります。

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