相変わらずニュースで「中東情勢」「ホルムズ海峡」「原油価格」「ナフサ不足」といった言葉を耳にします。

こうしたエネルギーをめぐる問題は、私たちの暮らしや家づくりにも少しずつ影響してきます。
今回は、エネルギーアナリストであり、ポスト石油戦略研究所代表の大葉明さんの発言をもとに、住宅会社の立場から、これから家づくりを考える方に知っておいていただきたいことを分かりやすく整理してみたいと思います。
今回参考にしたのは、エネルギーアナリストの大葉明さんのお話です。
大葉さんは、愛知県生まれ。京都大学を卒業後、技術系シンクタンクなどを経て独立され、2021年にポスト石油戦略研究所を設立。現在は代表として、石油やエネルギー問題について発信されています。
もともと石油を専門に研究されてきた方であり、今回のように原油供給やエネルギー安全保障が大きなテーマとなる場面では、専門的な知見をもとに冷静な分析をされています。
大葉さんの発言でまず重要なのは、日本が原油の多くを中東に依存しているという点です。
特に、ウクライナ戦争以降、ロシアからの原油輸入が減ったことで、日本の中東依存度は非常に高い水準になっていると指摘されています。
この話だけを聞くと、とても不安になります。
しかし、大葉さんは同時に、日本には石油備蓄があるため、すぐに生活が止まるような状況ではないとも説明されています。

つまり、原油の供給不安は大きな問題ではありますが、今すぐガソリンや灯油がなくなるといった極端な不安を抱く必要はありません。
大切なのは、必要以上に怖がることではなく、何が起きていて、それが私たちの暮らしにどのように関係するのかを正しく知ることです。
今回の話で、住宅会社として特に注意すべきだと感じたのは、原油そのものよりも、石油から作られる原材料の問題です。
その代表が「ナフサ」です。
ナフサとは、石油から作られる原材料の一つで、プラスチックや樹脂製品のもとになります。普段の生活ではあまり聞き慣れない言葉ですが、実は私たちの身の回りのさまざまな製品に関係しています。
住宅でいえば、ユニットバス、トイレ、キッチン、配管部材、断熱材、防水材、接着剤、樹脂部品など、多くの建材や住宅設備が石油由来の材料と関係しています。

つまり、原油そのものには備蓄があっても、ナフサや石油化学製品の流通が乱れると、住宅設備の納期や価格に影響が出る可能性があります。
大葉さんは、ナフサについて「原油とは違い、備蓄の対象から外れている」という点を指摘されています。
ここが非常に重要です。
原油には備蓄があります。
しかし、ナフサは同じように十分な備蓄があるわけではありません。
そのため、供給が不安定になると、原油そのものよりもナフサ関連の製品の方が、早く影響を受ける可能性があります。
住宅設備メーカーがユニットバスなどの受注を一時的に制限するような話が出てくるのも、こうした背景と無関係ではありません。
もちろん、すべての商品が急になくなるという意味ではありません。
しかし、材料の調達が不安定になれば、メーカーは生産量を調整します。
流通業者や施工業者も、在庫を多めに持とうとします。
すると、本来は足りているはずの材料でも、一時的に手に入りにくくなることがあります。

これは、お米やトイレットペーパーが一時的に店頭から消える現象にも似ています。
「足りないかもしれない」という不安が広がることで、流通そのものが乱れてしまうのです。
これから家づくりを考えている方にとって、現実的に注意すべきなのは、次の二つです。
一つ目は、価格の上昇です。
ナフサを原料とする製品は、原油価格や輸入コストの影響を受けます。材料費が上がれば、住宅設備や建材の価格にも反映されていきます。
二つ目は、納期の遅れです。
住宅は、非常に多くの部材や設備によって成り立っています。木材、断熱材、サッシ、設備機器、配管、防水材、接着剤など、どれか一つでも納期が遅れると、工事全体の工程に影響することがあります。

特にユニットバスやトイレ、キッチンなどは、住宅に欠かせない設備です。
「お風呂がない家」や「トイレがない家」は成り立ちません。
そのため、住宅設備の納期が読みにくくなることは、家づくり全体にとって大きな問題になります。
家づくりを検討中の方の中には、今のように世界情勢が不安定な時期には、少し様子を見た方が良いのではないかと考える方もいると思います。
もちろん、焦って判断する必要はありません。
しかし一方で、「もう少し待てば価格が下がるはず」と考えすぎるのも、今の時代には注意が必要です。
住宅価格は、材料費だけで決まるわけではありません。
人件費、物流費、設備費、施工費、エネルギー価格など、さまざまな要素が積み重なって決まります。
一度上がった建築費は、簡単には元に戻りません。

だからこそ、家づくりを考えている方は、世の中の状況を見ながら、資金計画と建築時期を早めに整理しておくことが大切です。
今回のエネルギー問題は、家を建てる時の価格だけでなく、暮らしてからの光熱費にも関係します。
電気代、ガス代、灯油代、ガソリン代。
エネルギー価格の変動は、家計に直接影響します。
だからこそ、これからの住まいは、ただ新しくてきれいなだけでは不十分です。
少ないエネルギーで、夏は涼しく、冬は暖かく暮らせること。
断熱性と気密性をしっかり高めること。
太陽の光や風を上手に活かすこと。
設備に頼りすぎず、シンプルな仕組みで長く安心して暮らせること。
こうした家づくりが、これからますます大切になると考えています。
世界情勢のニュースを見ると、不安になることもあります。
しかし、大切なのは、必要以上に怖がることではありません。
専門家の発言から学びながら、今、何が起きているのかを知ること。
それが私たちの暮らしや家づくりに、どう関係してくるのかを考えること。
そして、無理のない計画を早めに立てること。

これが、不安定な時代の家づくりにはとても大切です。
プラスホームでは、これからも家づくりを考える皆さまに、暮らしと住まいに関係する情報を、できるだけ分かりやすくお届けしていきます。
家族の暮らしと家計を守るために、これからの住まいづくりを一緒に考えていきましょう。
本記事は、エネルギーアナリスト・大葉明氏へのインタビュー内容を参考に、住宅会社の視点から要約・再構成したものです。
参考資料:Podcast Studio Chronicleにおけるインタビュー動画
※本文はインタビュー内容の一部をそのまま引用するものではなく、発言の趣旨をもとに、一般の住宅取得検討者向けに分かりやすく整理した解説記事です。
※エネルギー価格、資材供給、住宅設備の納期等は、今後の国際情勢やメーカー対応により変動する可能性があります。最新情報は各メーカー・関係機関の発表をご確認ください。