「地震による地盤の被害にどう備えるか?」
住まいづくりにおいて一番と言って良いほど
関心のあるテーマについてお伝えします。
今だ復旧作業が継続中の能登半島地震の
爪痕ですが、地震災害の大きさを感じます。
この大きな地震を受け、地盤への備えの
重要性があらためて見直されています。
これまでも耐震構造の大切さについて
お伝えしてきましたが、
地震に強い家を建てるうえでは
「どんな地盤の上に家を建てるか?」
という視点も欠かせません。
今回はその地盤に焦点を当てて解説します。
「地盤被害」と聞いてピンとこない
方もいるかもしれませんが、
報道などで「液状化現象」という
言葉は耳にしたことがあると思います。
例えば、1995年の阪神淡路大震災で
神戸のメリケンパーク周辺が液状化し、
地面がグチャグチャになったことがありました。
また、千葉のディズニーランド近くや、
新潟でも液状化被害がたびたび報告されています。
地震による地盤被害は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
山や崖の近くでは、地震によって斜面が崩れ、
大量の土砂が流れ込む危険があります。
また、津波も地盤条件により被害の大きさが異なります。
漫画のように地面がパックリ割れる現象。
実際に家が沈んだり、車や人が
落ちてしまうケースもあります。
砂質土の地盤に多く見られ、
地震によって砂粒の隙間にある水分が
押し出され、地面が一時的に
液体のようになってしまう現象です。
家が傾いたり、水道や下水の配管が
破損する原因になります。
地盤災害の備えとしてまず行いたいのが、
ハザードマップの確認です。
洪水リスクを見る人は多い一方で、
地震・液状化・土砂崩れ・津波の
ハザードマップを見る人は意外と
少ない印象です。
しかし、能登の地震でも、
実際に被害があったエリアは
ハザードマップで警告されていた場所でした。
ハザードマップは「伊達や酔狂」で作られているわけではありません。
土砂災害・津波のリスクが高い場所では、そもそも住むべきかを再検討する必要があります。
液状化が起こりやすいのは、
砂質土の地盤、特に海や川の
近くにあるエリアです。
Googleマップの航空写真や地形図で、かつて川や海だった場所かを確認
例えば広島のような三角州エリアは要注意
過去に液状化が発生した記録があるエリアは、再発の可能性も高いです
家を建てる際には、
「スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)」
という方法で、地盤の強さを調べることができます。
T字型のドリルで地面にねじ込みながら
重りを載せて、沈む深さや抵抗を
測定する簡易的な方法ですが、
非常に精度が高く、液状化リスクの判定にも使えます。
液状化対策としては、大きく分けて以下の2つの方法があります。
地中の水を抜くなど、大掛かりな工法
公共施設向きで、個人宅ではコスト面から難しい場合も
「柱状改良」や「鋼管杭」で、深い硬い地盤まで支柱を届かせて支持力を確保
地盤が緩くても、家を支えることが可能
地盤の粘土層などによって家が傾く
「圧密沈下」が起こった場合でも、
しっかりとした基礎と構造を持つ家であれば、
ジャッキアップで復旧可能です。
つまり、耐震性能の高い家づくりは、
地盤被害に対しても有効な備えとなります。
これから家を建てる、あるいは建て替える方は、
建物の耐震性能だけでなく、土地の地盤特性を
よく調べてください。
ハザードマップを見る
液状化履歴を調べる
スウェーデン式サウンディング試験を活用する
必要に応じて地盤改良を検討する
安全な暮らしのために、地盤対策という
視点をしっかり持って、地震に強い
家づくりを実現しましょう。