夏の暑さを凌ぐため、そして、
冬の厳しい寒さを凌ぐため、
断熱材の選択は住み心地に
大きく関わってきます。
家の性能や住み心地を考える際、
断熱材は非常に重要な要素です。
そして断熱材の性能を示す指標として
「熱抵抗値(R値)」があります。
このR値とは、断熱材の厚さを
熱伝導率で割った数値で、
数値が大きいほど熱の伝わりにくさ、
つまり抵抗力が高いことを意味します。
一見すると、熱抵抗値の高い
断熱材を選べば、
家全体の性能が良くなると
思われがちです。
しかし、実際にはそれだけでは
住み心地の良い家にはなりません。
もちろん熱抵抗値が低い家は論外です!例えば、6地域の建物で 屋根の熱抵抗値が6㎡K/Wを切ってしまうとか、壁の熱抵抗値が3㎡K/Wを下回るとかでは、性能が不足します。
※弊社基準は、屋根の熱抵抗値は6.5㎡K/W以上、壁の熱抵抗値は4㎡K/W前後です。
断熱材の性能が高い方が
家の性能としては良いのは
間違いありません。
ただし、住み心地の良い家が
「断熱材の性能が良い=快適」
というわけではないのです。
例えば、冬であれば家の中に
どれだけ効率よく熱を取り込めるか、
夏であれば太陽熱をどれだけ
カットできるかが重要です。
このような設計や間取り計画がなければ、
いくら熱抵抗値の高い断熱材を使用しても、
家全体の性能は思ったほど向上しません。
住み心地の良い家を実現するには、
以下のような設計や間取り計画が欠かせません。
こういった工夫があることで、
断熱材の性能が最大限に
活かされるのです。
残念ながら、熱抵抗値の高い
断熱材を使用していても、
間取り計画や設計のポイントが
考慮されていない住宅が
多く存在します。
例えば、南向きの窓がなく、
冬に太陽熱を取り込めない
設計になっていたり、
夏場に日射が室内に入り込む
設計になっていたりすることです。
こうした間取り計画が不十分では、
いくら高性能な断熱材を使用しても、
トータルとして家の性能は向上しません。
住宅会社の中には、「熱抵抗値の
高い断熱材が良い家の条件です」
と一方的に伝えるところもあります。
確かに数字で表すとそう
見えるかもしれませんが、
家づくりは数字だけでは
語れない部分が多いのです。
住み心地の良い家を実現するためには、
断熱材の性能だけでなく、
設計や間取り計画が一体となった
総合的なアプローチが必要です。
この点をぜひ覚えておいてください。
断熱材の選択は重要ですが、
それ以上に間取りや設計の工夫が
住み心地の良い家をつくる上で
欠かせません。
「熱抵抗値が高い=性能が良い」
という短絡的な考えに陥らないよう、
全体を見渡した家づくりを
心がけてください。
繰り返しで申し訳ありませんが、
断熱性能の最低基準をクリアしていないと、
そもそも快適な住まいづくりの土俵に上がりません。