床断熱と基礎断熱の違い、
それぞれのメリット・デメリット、
そして効果的な断熱施工の方法
について解説します。
木造住宅における床の断熱方法には、
大きく分けて「床断熱」と
「基礎断熱」があります。
床断熱は床部分に断熱材を
敷き詰める方法で、
基礎断熱は基礎部分に
断熱材を設置する方法です。
基礎断熱はさらに、基礎の外側に
断熱材を施工する「基礎外断熱」と
内側に施工する「基礎内断熱」に
分けられます。
現在の日本の住宅で圧倒的に
多いのは床断熱です。
その理由は、施工の簡便さと
コストの安さにあります。
※出典:デュポン・スタイロ株式会社HP
日本の伝統的な木造建築は、
床下を風通し良くすることで
木材の腐朽を防いできました。
この歴史的背景も、
床断熱が主流となった要因の一つです。
しかし、近年の研究では、
建築後1年目は床断熱の方が
床下の結露リスクは低いものの、
2年目以降は基礎断熱の方が
結露リスクが低いことが
明らかになっています。
これは、コンクリート基礎から
発生する水分が抜けた後は、
基礎断熱の方が乾燥状態を
維持しやすいためです。
一方、床断熱の場合、
床下に通気のための隙間があり、
夏場の冷房使用時に床裏で
結露が発生するリスクが高まります。
基礎断熱は、家の外周に沿って
気密処理を行うため、
気密性を確保しやすいという
メリットもあります。
床断熱の場合は床全体を面で
気密処理する必要があり、
施工が複雑で、多くの住宅会社で
適切な処理が行われていないのが現状です。
このため、同じ断熱性能でも、
基礎断熱の方が気密性が高く、
より快適な住環境を実現できます。
基礎断熱には、
基礎外断熱と基礎内断熱があります。
断熱性能の観点からは
基礎外断熱が優れていますが、
白アリのリスクが高まるという
デメリットがあります。
白アリは断熱材も食害するため、
基礎外断熱は白アリ対策を
徹底する必要があります。
一方、基礎内断熱は
白アリのリスクが低く、
断熱性能も比較的高いことから、
バランスの良い選択肢と言えます。
床断熱には、繊維系や
板状の断熱材が用いられます。
基礎断熱の場合は、
ほぼ100%板状の
断熱材が使用されています。
基礎への吹き付け断熱は、
水分を通しやすい
現場発泡断熱材を使用すると、
コンクリート基礎からの水分で
断熱材が劣化することがあるため、
注意が必要です。
既存の住宅で床の冷たさが
気になる場合は、
床下に現場発泡断熱材を
吹き付ける方法が効果的です。
断熱と気密を同時に確保できるため、
画期的な効果が期待できます。
ただし、施工が難しいため、
対応可能な業者を見つける
必要があります。
基礎断熱のメリットの一つとして、
床下にエアコンを設置できる
ことが挙げられます。
※乾燥機の下の床下エアコン(木製ガラリの内部)
床下エアコン暖房は、
家全体を効率的に暖めることができ、
床暖房よりもイニシャルコストを
抑えることができます。
また、床下エアコンは
基礎コンクリートから発生する
水分の乾燥を促進する効果も期待できます。
床下エアコン暖房の最大のメリットは、
家全体を低コストで暖めることが
できる点です。
床暖房のように個別の部屋に
暖房器具を設置する必要がなく、
1台のエアコンで家全体を
快適な温度に保つことができます。
また、床下から暖気を送ることで、
足元からじんわりと暖かさを
感じることができ、快適性も向上します。
日本の住宅で床が冷たく
感じる主な原因は、
窓の断熱性能の低さ、
床断熱と気密処理の不備、
そしてフローリングの材質です。
窓の断熱性能を高め、
基礎断熱を採用し、
無垢フローリングを
使用することで、
床の冷たさを軽減
することができます。
床の断熱は、
住まいの快適性を大きく
左右する重要な要素です。
床断熱と基礎断熱の特徴を理解し、
それぞれのメリット・デメリットを
考慮した上で、
最適な断熱方法を選択しましょう。
床下エアコンの全館暖房や
無垢フローリングの採用なども、
快適性を高めるための有効な手段です。