最近、朝晩はぐっと冷え込むようになってきましたね。
この時期になると、よく耳にするのが「家の中が乾燥する」という声です。
唇がガサガサする、喉がイガイガする、風邪をひきやすい。
こうした不快感に加えて、実は乾燥は感染症リスクも高めることが分かっています。

お客様からも
「加湿って、どれくらいやればいいんですか?」
「何を基準に考えればいいんでしょう?」
という質問をよくいただきます。
今回は、
住宅の視点 × 医学的エビデンス
この2つを合わせて、「冬の加湿」を整理してみます。
インフルエンザが冬に流行しやすい理由について、
日本大学医学部救命救急センターの医師がこう説明しています。
湿度が低いと、ウイルスが水分を含まず軽くなる
空気中を長時間浮遊しやすくなる
くしゃみや咳の飛沫も拡散しやすくなる
暖房による乾燥が、さらにそれを助長する
特に就寝中は、
・水分補給ができない
・無意識に口呼吸になりやすい
ため、喉や気道が乾燥し続け、感染リスクが高まるとされています。

インフルエンザ感染対策、ウイルスが大幅に減る加湿のポイントとは…
非常に興味深いのが、ウイルスの生存率と湿度の関係です。
過去の実験では、
室温20〜24℃
湿度20〜25%
この条件では、6時間後もウイルスが約66%生存していました。

ところが湿度を
49〜51%に上げると → 生存率は3〜5%
50%を超えると → 生存率は一気に低下
という結果が出ています。
適度な加湿が大切な理由は、
ウイルスを空中で落とすだけではありません。
私たちの気道には「線毛(せんもう)」と呼ばれる細かい毛があり、
粘液と一緒にウイルスを絡め取り、体外へ排出しています。
しかし、乾燥すると
粘液が減る
線毛運動が弱くなる
ウイルスが体内に侵入しやすくなる
つまり、乾燥は人体側の防御力も下げてしまうのです。

インフルエンザ感染対策、ウイルスが大幅に減る加湿のポイントとは…
医学的には、
室温:18〜22℃
湿度:50〜60%
この範囲が、インフルエンザ対策として最適とされています。
インフルエンザ感染対策、ウイルスが大幅に減る加湿のポイントとは…
ここで重要なのが、
「じゃあ、どうやってその湿度を保つのか?」という点です。
一般的な32坪・総2階住宅をモデルにすると、
気積:約254㎥
法定換気量:0.5回/h
外気と室内の水分差:約3.33g/㎥
この条件では、
1日あたり約10ℓの水分が換気で失われる
という計算になります。

2ℓペットボトル5本分。
かなりの量です。
人の呼吸・生活水分: 約5ℓ/日(4人家族)
室内干し(洗濯物): 約3ℓ
お風呂の残り湯: 約2〜3ℓ
これらを組み合わせれば、
理屈の上では10ℓ近くまで持っていくことは可能です。
ただし、
室内干しが苦手
スペースがない
湿度50%以上を安定して保ちたい
こうした場合は、加湿器の力が必要になります。
三種換気:
外気をそのまま入れる → 乾燥しやすい
一種換気(全熱交換):
湿気を約50%回収 → 冬の加湿に有利
夏の除湿にも効く点は、大きなメリットです。
赤ちゃんがいるご家庭、
アレルギー体質の方、
風邪をひきやすい方、
肌や喉が弱い方がいる場合、
加湿は快適性の話ではなく、健康管理そのものです。
同じ20℃でも相対湿度と絶対湿度の関係は、
湿度30%の20℃:絶対湿度5.19g/㎥(4.34g/kg)⇒ウィルスが66%生存
湿度50%の20℃:絶対湿度8.64g/㎥(7.26g/kg)⇒ウィルスの生存率が低下
つまり、ウイルスを空中で落としたり、「線毛(せんもう)」と呼ばれる細かい毛が粘液と一緒にウイルスを絡め取り体外へ排出するためには、空気中の単位体積当たりの水分量が20℃湿度50%[絶対湿度8.64g/㎥(7.26g/kg)]の状態を保てばよいことが分かります。
※湿度50%の20℃[絶対湿度8.64g/㎥(7.26g/kg)]は、気温が22℃の場合は相対湿度が44%になります。気温が24℃の場合は相対湿度39%です。

絶対湿度が同じでも気温が変化すると湿度も変化(相対湿度)するので、できれば絶対湿度の目安を知っておいた方が加湿過多にならずに住まいにも安全です。
冬の乾燥はウイルスの生存率を高める
20℃湿度50%以上で感染リスクは大幅に下がる:絶対湿度8.64g/㎥(7.26g/kg)
一般住宅では1日約10ℓの加湿が目安
暮らし方+設備の組み合わせが重要
「なんとなく乾燥するから加湿する」ではなく、
「理屈を知ったうえで、戦略的に加湿する」
そんな冬の住まい方を、ぜひ意識してみてください。