冬になると、毎年のように「入浴中に亡くなる事故」がニュースになります。年間約2万人。交通事故死の3倍以上です。
この数字、実は日本特有の問題だと知っていますか?
欧米と比べると、入浴中の死亡は日本が10倍。
背景には、日本人の入浴習慣だけでなく、日本の住宅が世界的に見ても極端に寒いという事実があります。

今回は、入浴中の異状死の実態と、その根本原因としての「住宅の寒さ」をわかりやすく解説します。
1人で亡くなる人のうち、約10%が「入浴中」。
ほとんどが浴槽内で意識を失い、溺死に至っています。
要因としてよく知られているのがヒートショック。
寒い脱衣所 → 熱い浴槽の急激な温度差で血圧が大きく変動し、失神につながります。
ただし、ポイントはここです。
欧米では同じような事故がほとんど起きません。
なぜなら家全体が暖かく保たれているから。
脱衣所や浴室が冷え切るなんて、そもそもありえないのです。
日本の住宅は、長らく「夏を基準に」建てられてきました。
そのため、冬の断熱性能は欧州に比べて圧倒的に低いままでした。

脱衣所が5℃
浴室の床が凍えるほど冷たい
廊下やトイレは外とほぼ同じ温度
これが当たり前だった結果、冬になると家の中に“危険な温度差”が生まれ、命を落とす事故が続出しているわけです。
しかも、入浴中の死亡者の9割が65歳以上。
筋力も血圧調整力も衰える高齢者にとって、**寒い家はそのまま「命のリスク」**になります。
興味深いのは、北海道は寒いのに入浴中の死亡が少ないというデータ。
理由は明確で、

北海道では昔から断熱が重要視され、
・脱衣所も暖かい
・浴室も冷えない
・家全体の温度差が少ない
という住宅が一般的です。
反対に、関東・関西・中部の“そこそこ寒い地域”のほうが危険。
外が寒いのに家が暖かくないため、温度差が一気に大きくなります。
流れを整理すると、こうなります。
家が寒い(脱衣所5〜10℃)
熱い湯に肩まで浸かる(42℃以上)
血圧が急変して意識が遠のく
浴槽で溺れる
誰にも気づかれないまま死亡
事故の本質は「溺死」ですが、原因はその前段階の**“家の寒さ”**にあります。
入浴時の対策はもちろん重要ですが、根本的には「住宅の断熱性能」を上げることが確実です。
断熱等級5〜6相当の断熱性能
脱衣所・浴室を含む“家全体”の温度差を小さくする
浴室暖房乾燥機の活用
窓の性能を高める(樹脂窓+トリプルガラス)
これだけで、入浴中の事故リスクは大きく下がります。
① 脱衣所・浴室を暖める
② 食後・飲酒後・睡眠薬服用後の入浴を避ける
③ 湯温は41℃以下、入浴は10分まで
④ 入浴前に水分補給
⑤ 立ち上がるときはゆっくり
⑥ 同居者に「入るよ」と声をかける

住宅の改善と生活習慣の工夫を組み合わせることで、事故は確実に減らせます。
ここが本当に大事です。
欧米でほとんど起きない事故が日本で10倍も起きている。
その背景には、長年見過ごされてきた“住宅の寒さ”があるのです。
最近は高断熱住宅が普及し、脱衣所や浴室が10℃を下回らない家も増えてきました。こうした家では、入浴事故がほぼ起きません。

この冬こそ、「家の断熱性能を上げる」という視点で、自宅の安全性を見つめ直してみてください。
命を守ることは、家づくりでもっとも優先すべきテーマです。