政府は2026年度の税制改正に向けて、住宅ローン減税の大幅な見直しと延長を検討しています。

いま家づくりや住まいの購入を考えている人にとって、今回の変更は大きな追い風になりそうです。
現在の住宅ローン減税は2025年末に期限を迎えますが、政府は2030年末までの5年延長を進めています。

現行制度の基本構造は維持されます。
年末ローン残高 × 0.7% を所得税・住民税から控除
控除期間:新築は 13年間
この仕組みにより、住宅取得時の家計負担を軽くする目的があります。
大きな変更点は、減税が使える住居の床面積が50㎡以上から40㎡以上に緩和されることです。
現行制度では例外的に「所得1000万円以下の新築のみ40㎡以上」が認められていましたが、今後はこれが原則化されます。
単身・高齢夫婦など小規模世帯が増えている
住宅価格の高騰で“コンパクトな住まい”の需要が増加
マンションの平均床面積は、ピーク時の95㎡→70㎡(2024年)まで縮小
40㎡台の1LDK・2LDKでもローン減税が利用しやすくなるため、都心部のマンション購入者にとって大きなメリットです。
政府は今回の税制改正で、中古住宅の優遇強化を中心テーマに据えています。

減税対象となる借入限度額を引き上げ
控除期間を現行の10年から延長
新築と同様に、子育て世帯・若年世帯への借入限度額上乗せを中古にも適用
省エネ・耐震性能の高い中古が増えている
流通量は2014年の33.9% → 2024年は43.6%に増加
不動産価格が上昇し、手の届く中古住宅へのニーズが拡大
特に都市部では新築価格が高騰しているため、質の高い中古住宅を購入しやすくする政策的意図が強く表れています。
実は今回の改正の中で最も重要なのが、性能の低い新築住宅は減税対象から外す方向で検討されていることです。

これは最低ラインですが、政府はこれだけでは不十分と判断し、
2030年までに、より厳しい基準を満たした住宅だけを減税対象にする
という方向性を示しています。
断熱性能(UA値)
気密性(C値)
高効率設備
再エネの導入
など、実質的に“高性能住宅化”を促す政策と言えます。
住宅の省エネ化は、国のカーボンニュートラル戦略とも連動しており、2030年頃には「高断熱・高気密住宅が当たり前」という時代が来ることを意味します。
現在、住宅ローンの固定金利は上昇傾向にあります(大手銀行で引き上げ)。

金利が上がると住宅取得が難しくなるため、
ローン減税の延長は「需要を下支えする景気対策」としての側面が強まっています。
とくに中古住宅は住宅価格を抑えやすく、
少子高齢化が進む日本において流通を活発化させることは国の重要戦略です。
今回の見直しから読み取れるメッセージは明確です。
面積要件緩和(50㎡ → 40㎡)
借入限度額の調整
減税期間の延長
借入限度額アップ
控除期間延長
若年・子育て世帯優遇の適用
省エネ基準適合は最低ライン
2030年に向けてより厳しい基準へ
これから家を買う人にとって、「どれだけ賢く制度を使いこなし、高性能な住まいを選ぶか」がますます重要になります。