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  3. 断熱等級6の家は本当に快適?窓だけ高性能な住宅の落とし穴

最近は「断熱等級6」の住宅が増えてきました。

UA値などの数値は高性能そうですが、
その中身をよく見ると、
実は1999年の断熱等級4の基準を
ほぼそのままにして、
窓だけをトリプルガラスにしたケース
まれに見受けられます。

今回は、そうした家の特徴と注意点について解説します。


1999年の断熱基準と現在の住宅

1999年当時の断熱等級4では、
屋根・壁・床・基礎の断熱性能は
現在から見るとかなり控えめでした。

当時の窓はアルミ枠のペアガラスが主流で、
家全体の熱損失の56〜57%が
窓から逃げていた
とされています。

しかし、窓だけを最新のトリプルガラスに
変えると、UA値(外皮平均熱貫流率)は
0.45程度となり、断熱等級6に届きます。

これが「窓だけ高性能な断熱等級6住宅」の正体です。


窓だけ良くしても快適とは限らない

窓性能が上がると、家全体から逃げる熱量
のうち窓の割合は20%程度まで減ります。

すると逆に、壁や屋根から逃げる熱が
際立つことに
なってしまいます。

これは「窓は高性能なのに、
壁や屋根は1999年基準のまま」
というアンバランスな家が増えているのです。


断熱材の種類ごとの特徴

  • 吹付発泡ウレタン(A種3・100倍/120倍発泡)
    建て売り住宅でよく採用されます。厚みは1999年基準を根拠に設定されていることが多く、窓を樹脂ペアにすれば等級6に届きますが、本質的には“最低限”の性能です。

  • パネル工法ネオマフォーム
    「最強断熱」と宣伝されがちですが、厚みが薄い場合は熱橋(柱や梁部分からの熱の逃げ)が大きく、性能が15%ほど不利になります。壁厚を最低60mm以上にする工夫が必要です。

  • セルロースファイバー
    柱厚に応じて断熱が充填されるため、基準より20%ほど性能が高くなります。屋根に厚く施工できる点も強み。ただし「蓄熱性」や「調湿効果」は過大評価されがちで、快適性に直結するとは限りません。

  • グラスウール
    数値通りに施工すれば問題ありませんが、厚みを削ってコストダウンする事例もあり注意が必要です。


付加断熱でバランスを整える

窓は住宅の中で最も断熱性能が低い部位です。

トリプルガラスでも熱抵抗値は壁の
半分程度しかありません。

そこで重要になるのが付加断熱です。

外側に断熱材を追加することで、
熱橋を抑え、家全体のバランスを
整えることができます。


どこまで性能を上げるべきか?

  • 最低ライン:1999年基準の1.25倍
    樹脂ペアガラスでUA値0.44前後。等級6を余裕でクリア。

  • おすすめ:1.7倍以上
    UA値0.32〜0.34程度。温度の安定性や快適性が大きく向上。

  • 理想:2倍クラス
    長期的に快適で、将来的なリフォーム不要の高性能住宅。


バランスの良い住まいを

「等級6だから安心」とは限りません。

窓だけで等級を満たした住宅は、
壁や屋根の性能が不足していることが多く、
快適性や省エネ性では物足りない家
なりがちです。


せっかく建てるなら、窓と壁・屋根・床
とのバランスを考え、
後悔のない断熱計画を立てることが大切です。

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