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  3. 付加断熱はやるべき?判断のポイントを徹底解説

この記事は「付加断熱は本当にやった方がいいのか?」というテーマでお伝えします。

先日あるお客様から、
「断熱をしっかりやりたいのですが、
やっぱり付加断熱は必要ですか?」
というご相談をいただきました。

今回はこの質問をきっかけに、
付加断熱の基本から判断基準まで、
じっくりと解説していきます。


付加断熱とは?その基本をおさらい

「付加断熱」とは、充填断熱に加えて、
外側にも断熱材を追加することです。

住宅の断熱には大きく分けて「充填断熱」と「外断熱」があります。

  • 充填断熱:柱や梁の間に断熱材を入れる方法

  • 外断熱:柱や梁の外側に断熱材を貼る方法

これらを組み合わせたものが「付加断熱(ダブル断熱)」と呼ばれます。

断熱材が増えるため、当然ながら断熱性能は向上します。

また、柱や梁といった木材部分は、
金属ほどではないものの熱を通しやすく、
断熱材と比べると「熱橋(ヒートブリッジ)」となることもあります。

外から断熱材を加えることで、
こうした熱の逃げ道をカバーできるのです。


性能だけでなく「コストとのバランス」が大事

冒頭の「やった方がいいですか?」という質問は、
単に性能だけでなくコストパフォーマンス
含めたご相談だと感じました。

では、付加断熱をする・しないの判断を、
どのようにすればいいのでしょうか?

そのために必要なのが「熱抵抗値(R値)」という考え方です。


熱抵抗値で断熱材を比較しよう

断熱材の性能評価には、「熱伝導率(λ値)」と
「厚み」の両方が重要です。

これらを総合して評価するのが「熱抵抗値(R値)」で、
計算式は以下の通り:

熱抵抗値 R = 厚さ[m] ÷ 熱伝導率[W/(m・K)]

具体例

断熱材厚さ熱伝導率熱抵抗値(R値)
グラスウール16K100mm0.0382.63
ネオマフォーム(フェノール)40mm0.0202.00
EPS(発泡スチロール)25mm0.0380.65

例えば、内断熱にグラスウール16K(100mm)+ 外側にEPS(25mm)を使えば、合計 R値3.28 になります。

同等の性能をグラスウール32Kを105mm使って実現することも可能です。

つまり、「付加断熱をしないと性能が出ない」ということではなく、
断熱材の種類と厚さの組み合わせで必要な性能を
確保できる場合もあります。


地域による判断基準もある

たとえば、北海道などの寒冷地では、
付加断熱はほぼ必須。

一方で、5地域・6地域(中間〜温暖地)なら、
設計や使用材料次第で、
付加断熱なしでも十分な性能を出すことは可能です。

また、付加断熱は外壁を厚くするため、
壁面後退民法上の隣地境界(50cm)問題にも
配慮が必要です。

こうした場合、室内側に断熱材を追加する
「内付加断熱」という選択肢もあります。


性能を左右するのは「窓」と「日射コントロール」

断熱性能を語るうえで見落とされがちなのが「窓」と「日射」です。

例えば、付加断熱をしていても、
窓がアルミ樹脂複合でガラスが
Low-E複層程度では、
HEAT20 G2レベルの性能はクリアできません。

トリプルガラスを一部採用するなどの工夫が必要になります。

さらに、夏場の日射遮蔽と冬場の日射取得。

この日射コントロールこそ、快適な住環境を
つくるうえで非常に大きな要素です。

断熱材の種類や厚さだけで語るのは不十分であり、
「断熱 × 窓性能 × 日射コントロール × 空調」の掛け算の設計が重要なのです。


付加断熱は「手段の1つ」、判断基準はバランス

結論として、付加断熱は性能向上に有効ですが、
「必ずやるべき」とは限りません

  • 熱抵抗値で比較し、コストとのバランスを検討する

  • 地域性(寒冷地か温暖地か)を考慮する

  • 外付加か内付加かを敷地条件と法規から判断する

  • 付加断熱だけでなく、窓性能と日射コントロールを含めた設計が不可欠

特に、営業マンが「うちはダブル断熱だからいい家です」と断言してしまうケースもありますが、本質はそこではありません。

性能を正しく数値で捉え、暮らし全体の快適性とコストのバランスを考える視点が求められます。


判断基準は?

私はこれまで、日射や空調、
断熱の全体バランスを学んできました。

断熱はもちろん大切ですが、それ以上に
どう快適に暮らすか」という視点が、
家づくりの本質だと思っています。

付加断熱を検討する際は、
単なる性能アップの話ではなく、
建物全体のバランスの一部
として、
ぜひ冷静に判断してみてください。

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