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  3. 屋根の寿命を最大に伸ばすために押さえておきたい基本ポイント


屋根は住宅の中でも最も過酷な環境にさらされる部位です。

太陽光・風雨・温度変化――これらに常時さらされることで、
屋根の劣化は家全体の寿命に直結します。

だからこそ「瓦が良いか、ガルバリウム鋼板が良いか」といった“屋根材選び”だけに議論を閉じ込めてしまうのは危険です。

ここでは屋根の寿命を決める本質的なポイントをお伝えします。


見えない部分こそ要注意――野地板のダメージ

  • 野地板は屋根垂木の上に張る下地材で、ルーフィング(防水シート)と屋根材のさらに下にあります。

  • 10年超の家を点検すると、屋根材が無傷なのに野地板が波打つほど腐朽している例が少なくありません。

  • 腐った野地板は屋根面を歪ませ、雨漏り・カビ・構造劣化を招く元凶になります。


野地板を守るカギは「湿気コントロール」

ポイント解説
① ルーフィングの透湿性一般的なアスファルトルーフィングは湿気を通しません。透湿タイプ(例:タイベック® ルーフライナー)を採用すると野地板から水蒸気を逃がせますが、耐用年数とのバランスを要検討。
② 通気層と棟換気野地板の下側に風が通るルートを確保し、上部(棟)から排気することで湿気と熱を抜きます。
– 寄棟は棟換気が難しく、通気不足になりやすい。
– 切妻は gable vent(面戸換気)や換気棟を設けやすい。

屋根材よりも「野地板を乾かし続ける仕組み」が寿命を左右する。


設計・施工で押さえるべきディテール

  1. 換気棟は必須装備

    • 屋根材の種類にかかわらず、排気量計算に基づき十分な開口を確保する。

  2. 野地板は厚みアップで長寿命

    • 標準の12 mm→24 mmへ倍増すれば、30年後の再葺き替えでも再利用できる可能性大。

  3. 通気垂木 or 通気スペーサー

    • 野地板の下に通気層を設け、軒先から棟へ空気が流れる断面を確保。

  4. 点検口+ドローン点検

    • 定期的な点検で屋根材・棟金物・換気部材の劣化を早期発見。


4. メンテナンスのタイミングとチェックリスト

  • 10年目:塗装屋根は再塗装の要否を確認。ルーフィングの端部・棟換気部材を点検。

  • 20年目:瓦・金属屋根でもビスゆるみやシーリング劣化をチェック。野地板のたわみがないか屋根裏から確認。

  • 30年目以降:屋根材の全面葺き替えを検討。その際に野地板が健在なら廃材と費用を大幅に削減可能。


“屋根材より換気と下地”に投資する

  • 屋根の耐久戦略は**「乾かす」「換気する」「厚くする」**の3本柱。

  • 棟換気と十分な通気層を設計段階で組み込み、野地板を24 mmに強化すれば、屋根は30年以上健全なまま持続します。

  • 外壁タイルに予算を割く前に「換気棟&野地板強化」へ投資すれば、メンテナンスコストと廃材を抑えながら家の価値を守れます。

屋根材選び以上に、下地と換気にこそ“長寿命住宅”の鍵がある――これが屋根を最長寿にする基本原則です。

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