家づくりやリノベーションで多くの方が
悩むのが「フローリングの種類」。
その中でも「無垢材と市販のフローリング
(複合やカラーフロア)」、
どちらの耐久性が高いのかは、
非常によくあるご質問です。
今回は、現場経験を交えながら、
それぞれの特徴と耐用年数について解説します。
まず「フローリング」とひと口に言っても、
大きく分けて以下の3種類があります。
カラーフロア(樹脂シート系)
複合フローリング(合板+突き板・挽き板)
無垢フローリング(天然木そのまま)
なお、営業の方が「これは無垢材で、
こっちはフローリングです」と話すことがありますが、
実はこの言い方、少し誤解を招きます。
「フローリング」は英語で「床材全般」
を指す言葉。
つまり無垢材もフローリングに含まれます。
耐用年数:約10〜15年
一番手頃で多く採用されているのが、
表面に木目調のプリントシートを
貼った「カラーフロア」です。
基材:MDF(中密度繊維板)や合板
表面:樹脂系のプリントシート+コート仕上げ
メリット:価格が安い、デザイン豊富、表面硬度が高く凹みにくい
デメリット:紫外線による劣化に弱い、修復不可、経年劣化が早い
見た目は本物の木のように美しく、
コーティングもされているので
最初の数年はメンテナンスもほとんど不要です。
ただし、表面は石油系樹脂のため、
紫外線に弱く、10年ほどでヒビ割れや
剥がれが目立ってきます。
耐用年数:約10〜20年(グレードによる)
合板の上に薄い天然木(突き板・挽き板)を貼った
タイプで、いわば「ハイブリッド型フローリング」です。
基材:積層合板
表面:本物の木(突き板:約0.3〜1mm、挽き板:約2〜6mm)
メリット:反りにくく安定性がある、無垢の風合いに近い、高級感
デメリット:厚みによっては再研磨不可、補修が難しい
表面の木材の厚みが分厚い(挽き板タイプ)ほど
高価になりますが、昔の体育館のように研磨して
再塗装できるものもあります。
ただし、日焼けや摩耗には注意が必要です。
耐用年数:30年以上(手入れ次第で50年超)
無垢材は、一本の木をそのままフローリング材に
加工した「天然木そのもの」の床材です。
針葉樹(スギ・ヒノキ・パインなど)
柔らかく軽い、あたたかみがある、価格は安い
広葉樹(ナラ・チーク・カバなど)
硬くて重厚感があり、耐久性が高い、価格は高め
メリット:手触り・足触りが心地よく、経年変化が楽しめる
デメリット:反り・割れ・収縮などが起きやすく、手入れが必要
無垢材は“「経年劣化」ではなく「経年美化」”。
使い込むほどに味わいが深まり、
オイルやワックスで定期的に手入れ
することで、光沢も増していきます。
お寺や神社の黒光りした床を思い浮かべてみてください。
無垢材の床は、美観や肌ざわりを
重視する人には最適です。
一方で、メンテナンスが苦手な方や、
多少の傷や反りも許容できない方には向いていません。
無垢材は、人の顔のようなもの。年月と共にシワやシミができても、それが味わいとなり、美しさになります。
20年ほどで交換が必要な複合フローリングに対して、
無垢材はきちんと手入れをすれば30年〜50年と長く使えます。
価格だけを見ると無垢は高く
感じるかもしれませんが、
長期的な視点では、むしろ経済的。
40年・50年と暮らす家だからこそ、
こうした床材の選び方が大切だと思います。
種類 | 耐用年数 | 特徴 | メンテナンス | 備考 |
---|---|---|---|---|
カラーフロア | 10〜15年 | 表面は印刷シート、紫外線に弱い | ほぼ不要(短命) | 安価、リフォーム向き |
複合フローリング | 10〜20年 | 合板+天然木(突き板・挽き板) | 種類により対応 | 中価格帯、補修制限あり |
無垢フローリング | 30年以上 | 天然木そのまま、経年美化が魅力 | 定期的な手入れが必要 | 高価、長寿命で価値が続く |
あなたのライフスタイルや価値観に合った
フローリング選びの参考になれば幸いです。
迷ったら、「10年後・20年後の姿」まで
思い浮かべてみてください。