築30年以上のお家をリノベーションして
長く快適に暮らしていくためには、
インフラ・設備の見直しが欠かせません。
人間は生きている限り水・電気・
ガスは必須であり、これらを利用して煮炊き、
暖房・冷房を行うことで快適な生活が維持されます。
今回は、リノベーション時に特に気をつけたい
「インフラ・設備」のポイントを詳しく解説していきます。
築30年以上のお家のお風呂は、
多くの場合在来工法(タイル張り・
モルタル塗りの床・壁・天井)です。
こうした浴室は冬場の冷え込みが厳しく、
ヒートショックのリスクが非常に高いです。
ヒートショックとは、寒い浴室から
熱い湯船への急激な温度変化で
血圧が大きく変動し、倒れてしまう現象のこと。
特に高齢者には命に関わる危険があります。
✅ オススメ:ユニットバスへの交換
現代のユニットバスは非常に優れた構造で、
以下のメリットがあります。
断熱性の向上:浴槽に断熱材が巻かれており、湯冷めしにくい
高機能設計:手すり・シャワー・収納・鏡の配置が合理的
水漏れ・腐食防止:ユニットバスはシームレスな構造で水漏れリスクが低い
タイル張りで断熱性を高めることも
不可能ではありませんが、
断熱層の設置により浴室が狭くなる、
防水・耐久性の確保が難しいなど
多くの課題があります。
ユニットバスへの交換は、
コストパフォーマンスや工期の面でも
圧倒的に有利です。
古いお家では、電気温水器を使っている
ケースも多いですが、これは非常に
電気を消費します。
電気温水器は単純にコイルで
水を沸かしているだけなので、
エネルギー効率が1:1で、
沸かした分だけ電力を消費してしまいます。
✅ オススメ:エコキュートへの交換
エコキュートはヒートポンプ技術を
使って空気中の熱を取り込み、
お湯を沸かすので、エネルギー効率は1:3〜4倍。
電気温水器と比較して、
電気代が約1/3〜1/4に抑えられます。
さらに、電気温水器からエコキュートへの
交換は約1年で元が取れると言われています。
LPガス給湯器を使っている場合も、
エコキュートへの切り替えで4年程度で
元を取れる計算です。
特に都市ガスが使えない地域では、
光熱費削減の観点からもエコキュートが
圧倒的に有利です。
築40〜50年を超える家の場合、
水道配管の劣化にも注意が必要です。
昔の配管は鉄管が使われていることが多く、
経年劣化で錆びや詰まりが発生して
水の流れが悪くなっているケースもあります。
✅ オススメ:ヘッダー方式への交換
現在主流なのはヘッダー方式で、
メーターから各設備(トイレ・キッチン・
浴室など)へ1本のパイプで直結する方式です。
この方式なら、継ぎ手がないので
水漏れリスクが激減します。
さらに、サヤ管ヘッダーを導入すると、
万が一傷がついた時も簡単に配管を
引き抜いて交換できます。
古いお家では、分電盤の容量が小さく、
回路数が少ないことが多いです。
そのため、ドライヤーを使いながら
電子レンジを使うとブレーカーが
落ちるということが頻繁に起こります。
✅ オススメ:大容量分電盤への交換
リノベーション時には専用回路を増設して、
電子レンジ・ホットプレート・電気鍋などを
個別回路で使えるようにしておくと、
ブレーカー落ちの心配がありません。
最近の分電盤はスリムでスマートな
デザインのものも多いので場所も取りません。
リノベーション時には、排水管やガス管の
交換もセットで行うのがベストです。
特にガス管は、古い鉄管の場合は劣化による
漏れや錆びのリスクがあります。
また、インターネットの配線についても、
最新の光回線やLAN配線を備えることで、
将来的にも安心です。
特に年長者の方には、洗濯物の干し方への
こだわりが強いケースが多いですが、
年齢を重ねると外干しは体力的に
大変になります。
✅ オススメ:室内干し空間の確保
ガス乾燥機の導入(乾燥時間が短くふっくら仕上がる)
内干し用除湿機を併設して、梅雨時期でも安心
内干し専用スペースの確保で、洗濯物の動線を効率化
例えば、仕事部屋の一角を
内干し専用空間にしておくことで、
雨の日や寒い冬でもストレスなく
洗濯物を干せます。
築30年以上のお家をリノベーションする際は、
インフラ・設備の改修を怠ると、
せっかく性能を高めた家が快適になりません。
✅ お風呂の断熱化(ユニットバスへの交換)
✅ 給湯設備の更新(エコキュート)
✅ 水道・排水・ガス管の見直し
✅ 分電盤・回路数の増設
✅ 内干し専用空間の確保
これらのポイントを押さえることで、
長期的に快適で安全な暮らしを実現できます。
リノベーションを考える際には、
「インフラ・設備」の見直しを最優先にする
ことを強くオススメします。