2025年から新築住宅には
断熱等級4が義務化されることを
ご存じでしょうか?
断熱性能に関しては、
UA値(外皮平均熱貫流率)や
HEAT20のG2・G3といった
様々な基準があります。
断熱等級が高くなるほど
UA値は低くなり、簡単に言うと
「家の燃費が良くなる」というイメージです。
この疑問を、地域性や建築コストの
観点から掘り下げてみます。
寒冷地の北海道や旭川などでは、
冬の寒さが厳しく、
断熱性能を高めることで
熱損失を防ぐ必要があります。
具体的には、UA値0.28程度を目指す
HEAT20のG2基準(1・2,3地域)以上が推奨されます。
一方で、濃尾平野のような
比較的温暖な地域では、
冬の熱損失はそれほど大きくありません。
そのため、断熱性能を過剰に高めるよりも、
太陽光発電を活用した空調計画や、
日射取得を考慮した設計が効率的です。
東京ゼロエミ住宅の基準では、
UA値0.35が最高の「水準A」と
設定されています。
この基準は、コスト面や
施工難易度を考慮しながらも、
十分な省エネ効果を発揮できる
妥当なラインとされています。
HEAT20のG2.5に相当する
この基準を設定することで、
「頑張れば手が届く」目標として
多くの住宅がこの基準を
目指す可能性が高まります。
私たちが建築について情報を
収集する業界紙「新建ハウジング」で
連載されている松尾先生の
「エコハウス設計メソッド」の
記事の中で松尾先生は、
「UA値0.35を厳守することは重要ですが、
地域や土地の条件を考慮すべき」
と述べています。
例えば、土地が広く
日射取得が可能な地域では、
南面の窓を大きく設け、
UA値を0.38程度に緩和する方が
結果的に効率的だといいます。
これは、無理に窓を小さくして
断熱性能を高めるよりも、
日射を活用して暖房費や
CO2排出量を抑える方が効果的であるためです。
建物の形状によっても
断熱や日射の効率は大きく異なります。
例えば、南北に長い土地では
南面に窓を最大限配置する
必要がありますが、
東西に長い土地では南面の窓を
適度に抑える方が効果的です。
太陽光発電を活用することで、
建物内部の温度を効率よく
管理することも可能です。
太陽光発電を設置することで、
日中に得たエネルギーを効率的に
利用できる住宅が増えています。
例えば、日中に床下エアコンを運転し、
夕方以降は蓄熱効果を活かすなど、
太陽光発電を組み込んだ空調計画は
非常に効果的です。
さらに、在宅ワークや
家事の効率化にも寄与します。
一部では「太陽光発電は損だ」
という意見もありますが、
実際には長期間使用可能で、
パネルの金額が下がってきたこともあり、
10年前後を目安に投資金額が
回収できる場合がほとんどです。
予算の関係で太陽光パネルの
設置に投資できない場合、
リースという方法を
検討することをおすすめします。
買取の場合よりは金利の分だけ
回収期間が掛かりますが、
それでも15年程度で終了するはずです。
住宅の断熱性能や
太陽光発電の活用は、
地域の気候や土地条件、
住む人のライフスタイル
によって大きく異なります。
特に、東京ゼロエミ住宅の
基準に見るように、
無理に高性能を目指すよりも、
コストや施工性、
日射取得のバランスを
考慮した計画が重要です。
また、太陽光発電を活用することで、
エネルギー収支を効率的に
管理することが可能です。
これから家を建てる際には、
地域の特性を理解し、
最適な性能やプランを
選ぶことをぜひ考えてみてください。