家づくりにおいて、避けては通れないのが地震対策。
安全な家にするために、「耐震」だけでなく、
「制振」という選択肢も視野に入れたいところです。
今回は、 「制振装置」 について解説していきます。
耐震等級3の耐震性能が
標準となりつつある中で、
さらに地震対策を強化する手段として、
次に考えるべきはこの「制振装置」です。
まず、 「耐震」 と 「制振」 の違いを簡単に説明します。
耐震:地震の力に耐える構造。(家の強度を高めて地震に耐えるイメージ)
制振:地震のエネルギーを吸収し、揺れを小さくする。(地震の力を吸収して揺れを抑えるイメージ)
※耐震はブレーキ、制振はエアバッグのようなもの、と考えるとイメージしやすいかもしれません。
事故が起きそうな場面で、ブレーキの無い車は絶対に事故るし、エアバッグの無い車はより大きな怪我につながります。
耐震効果
制振効果
住宅に使われる制振装置は、大きく2種類あります。
壁倍率あり:筋交いのような役割を果たし、耐震性能を高める効果を持つ。
壁倍率なし:耐震性能を高める効果はなく、地震エネルギーの吸収に特化している。
それぞれの特徴を、もう少し詳しく見ていきましょう。
メリット:設置するだけで耐震性能が向上する。
デメリット:効果が出るまでに時間がかかる場合がある。
壁倍率ありの制振装置は、
建物の変形が大きくなった時に効果を発揮します。
普段は建物の強度を高める役割を担い、
大きな地震の際には、その力を発揮して倒壊を防ぎます。
メリット:小さな揺れから効果を発揮し、地震エネルギーを吸収し続ける。
デメリット:耐震性能を高める効果はない。
壁倍率なしの制振装置は、
オイルダンパーのような装置によく見られます。
初期の段階から地震エネルギーを吸収し、
建物への負担を軽減します。
どちらの制振装置が良いかは、
どのような耐震性能を目指すか によって異なります。
耐震等級3をベースに、さらに耐震性能を高めたい場合→ 壁倍率あり の制振装置がおすすめ。
耐震等級3の性能を維持しながら、地震の揺れを小さく抑えたい場合→ 壁倍率なし の制振装置がおすすめ。
制振装置の効果を最大限に発揮させるためには、
耐震等級3を確保することが大前提です。
「制振装置さえ付ければ、耐震等級は低くても大丈夫」
といった誤解は絶対にしないようにしましょう。
重要なのは、耐震と制振は
トレードオフの関係ではなく、
セットであるべきだということです。
耐震性能を十分に確保し、
その上で制振装置を追加することで、
より安全な建物を実現できます。
既存住宅のリノベーションの場合、以下の2つの考え方があります。
耐震性能を十分に確保できる場合→ 壁倍率なしの制震装置をプラスする。
耐震性能の確保が難しい場合→ 壁倍率ありの制震装置をうまく活用する。
制震装置は、地震から家を守るための心強い味方です。
耐震等級3を標準とした上で、
より高い耐震性能を目指すのか
地震の揺れを抑え、住み続けるための性能を維持するのか
ご自身の住宅に合った制振装置を選び、安全・安心な家づくりを実現しましょう。
地震対策を強化するために、
耐震だけでなく、
制振装置の導入を検討してみてはいかがでしょうか?
次回は、2種類の制振装置の
正しい選び方は存在するのか、
私なりの考えをお伝えしたいと思います。