日本の住宅は、
昔から「人間が快適に暮らす」ことよりも
「木材を腐らせない」ことを重視して
設計されてきました。
この歴史的背景から、特に木造住宅では
性能不足のままの断熱施工が、
一般的に行われてきたのです。
今回は、日本の住宅における
床下の断熱施工の問題点と、
その改善策について掘り下げていきます。
日本では、床下空間の
断熱施工の方法として主に
「床断熱」と「基礎断熱」があります。
※出典:株式会社 インテリックス社HP
現在、日本の多くの住宅で
採用されているのは「床断熱」です。
これは施工が簡単で、
コストが安いことが主な理由です。
しかし、この方法には
いくつかの問題点があります。
床断熱では断熱材の取り付けがあまいと、
隙間ができやすいため、
断熱性能が担保されない場合があります。
そのため、冬場は
冷気が床下から入り込み、
夏場は湿気がこもり、
結露のリスクが高まります。
特に近年の日本の夏は
気温が35度を超えることが多く、
エアコンを使用すると、
冷気が床に溜まり結露が
発生しやすくなっています。
「床断熱」は床そのもので
断熱を行う方法であり、
特に施工が簡単なため
広く採用されています。
一方で「基礎断熱」は、
基礎部分で断熱を行う方法です。
基礎断熱はさらに「基礎内断熱」と
「基礎外断熱」の2つに分類され、
基礎外断熱は基礎の外側に断熱材を貼り、
基礎内断熱は内側に貼る方法です。
断熱効果だけを考えれば、
基礎外断熱が優れていますが、
シロアリのリスクが高くなります。
一方、基礎内断熱はシロアリの
リスクが低いため、断熱効果と
リスクのバランスを考慮して
選択することが重要です。
基礎断熱には以下のメリットがあります。
ただ一点だけ基礎断熱の施工上、
注意する事があります。
それは、気密パッキンという部材です。
実はこの部材は、気密性が乏しいのです。
商品名が「気密パッキン」なのに?
とお感じの方も多いと思いますが、
私も同感です。
これまでの私の経験ですが、
ある現場での気密測定時に、
軽く負圧を発生させて、
空気の進入路を探っている時、
気密パッキンからの空気の
流入を確認しました。
それ以降、気密パッキンの使用を
止めたところ、気密測定の結果に
変化がありました。
C値が一定の数値良くなったのです。
毎回気密測定を行っている
工務店にとっては
「そうそう」と言われる情報です。
現在は改良されている
かもしれませんが、
確かな気密性を確保するために
今後も使用しません。
床断熱は施工が簡単で
コストが安い反面、
以下の問題があります。
床の断熱に関連して、
床の冷たさに悩んでいる方も
多いのではないでしょうか?
床の冷たさの原因は、
以下の3つが考えられます。
これらの問題を解決するために
窓の断熱性能を高める
基礎断熱を採用する
無垢材やコルクなど、
熱伝導率の低い床材を選ぶ
といった対策が有効です。
既存の住宅でも、
以下の方法で断熱性能を
向上させることが可能です。
日本の住宅における
断熱施工の課題は、
歴史的背景やコストの
問題が影響しています。
しかし、適切な断熱材や
施工方法を選ぶことで、
より快適でエネルギー効率の高い
住環境を実現することができます。
基礎断熱を採用することで、
結露リスクを減らし、
気密性を高めることが可能です。
将来的に快適な暮らしを目指すなら、
断熱施工の見直しを
検討する価値があります。
日本の住宅が「木材を腐らせない」ために
作られてきたという背景を踏まえつつ、
現代の住宅では「人間が快適に暮らす」
ことを最優先にした設計が
求められる時代となっています。