地震保険は、地震による住宅の倒壊などの
被害に備えるための保険ですが、
加入者はそれほど多くありません。
火災保険は住宅ローンに必須であるため
ほぼ全員が加入していますが、
地震保険については選択肢の一つとして
あまり選ばれていないのが現状です。
地震保険に加入しない主な理由の一つは、
現代の住宅が高い耐震性能を持っていることです。
当社では許容応力度計算による
耐震等級3の住宅しか作っておらず、
震度7の地震でも倒壊しにくい設計になっています。
これにより、地震保険の適用条件が厳しくなり、
保険加入の必要性を感じにくくなるケースが多いのです。
最近は、性能評価証明を取得するケースが増えています。
当社が独自に行う構造計算で「耐震等級3」
になったという書類ではなく、
国が定める機関にデータを提出し、
耐震等級3であることを正式に証明する書類です。
この証明書があることで、公的に認められた書類として
地震保険に加入する際に有利になります。
証明書がなくても加入できる保険もありますが、
掛け金が高くなることが多いです。
地震保険に入るなら、耐震等級3の証明を取得する方が良いと思います。
ある保険では、耐震等級3の住宅が加入でき、
保証期間が10年間、保証率が100%と謳っています。
しかし、保険の内容を詳細に確認すると、
うたい文句とは異なる点も見受けられることがあります。
例えば、震度6.8以下の地震の場合に
適用されるという条件がありますが、
震度がそれ以上の場合には保証が受けられない可能性があります。
保険に加入する際には、実際の保証内容を
よく確認する必要があります。
震度が6.8以下の地震には適用されるが、
それ以上の場合には適用外になるという条件は、
過去の地震の規模を参考にすることが必要です。
東日本大震災や熊本地震では最大震度が6.6や6.7でしたが、
これ以上の震度の場合には保険が適用されない可能性があります。
地震保険における一つの大きなリスクは、
総保証限度額が低いことです。
例えば、総保証限度額が10億円の場合、
100軒の家が被災してそれぞれに1000万円の被害が出たとすると、
ちょうど10億円となり全額がカバーされます。
しかし、各住宅の被害額が2500万円となると、
40軒分しか保証されません。
これを超えると、全員に満額の保証が行き渡らなくなり、
分割されてしまうため、
結果的に期待した金額が支払われない可能性があります。
さらに、総保証限度額が年間10億円と設定されている場合、
例えば2024年の4月に大きな地震が発生して
10億円を使い切ってしまったとします。
その後、同年の6月や7月に他の場所で
地震が発生しても、新たに保険金は支払われません。
このようなシステムでは、
被災者が保険金を受け取れる保証が減少するリスクが高まります。
高い耐震性能を持つ耐震等級3の住宅であっても、
地震の規模が大きければ損壊する可能性があります。
耐震等級3の住宅は震度7でも倒壊しない基準で設計されていますが、
それ以上の地震が発生した場合、保険が適用されないリスクがあります。
地震保険は、大規模な自然災害に備えるためのものであるはずですが、
実際には震度の制限や総保証限度額の問題があり、
十分な保証が受けられない場合もあるのです。
地震保険を選ぶ際には、以下の点に注意することが重要です。
地震保険は、住宅を地震による損壊から守るための
重要な手段ですが、その内容を十分に理解し、
リスクを把握することが必要です。
総保証限度額や適用条件、
保険金の分配方法について詳しく確認し、
自分に合った保険を選ぶことで、
地震災害に対する備えを万全にすることができます。
また、保険加入の際には、住宅会社や保険会社からの
説明を鵜呑みにせず、自分自身で詳細を確認し、
納得した上で契約することが大切です。
地震保険についての理解を深め、
保険加入に際しては、
保険内容をしっかりと把握し、
自分に合った保険を選ぶことが大切です。