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  3. 50年後も快適に暮らせる家づくりの優先順位

家づくりを考えるとき、「どの性能を優先すべきか」が
分からず迷う方も多いのではないでしょうか。

実は、高気密高断熱は必須の性能ですが、
それだけに偏ると長期的な快適性や
耐久性が不足してしまいます。

耐震・断熱・日射・メンテナンスまで、
総合的にバランスを取ることが大切です。


1. 家づくりで重視すべきポイントの全体像

下の表は、家づくりで優先すべき要素を重要度順に並べたものです。

優先度のイメージ(上から順に重要度が高い)

① 耐震性能 ★★★★★
② 断熱性能 ★★★★☆
③ 気密性能 ★★★★☆
④ 換気・空調 ★★★★☆
⑤ 日射コントロール ★★★☆☆
⑥ メンテナンス性 ★★★☆☆

👉 最優先は命を守る耐震性能。次に高気密高断熱で快適さを確保し、その上で換気や日射、メンテナンスまで整えていくことが理想です。


2. 数値でわかる断熱と気密の目安

住宅の性能は、UA値(断熱性能)とC値(気密性能)で数値化されます。

項目国の省エネ基準ZEH基準HEAT20 G2理想的な暮らしの目安
UA値(断熱)約0.87約0.6約0.460.46以下
C値(気密)不問1.0以下(目安)0.7以下0.5以下

👉 UA値0.46以下、C値0.5前後を目標にすると、50年後も「古い性能」とはならず安心です。


3. 性能を支える「見えない部分」

家の性能は一つの要素だけでは成り立ちません。

┌──────────────┐
│ 耐震(命を守る) │
├──────────────┤
│ 断熱・気密(快適さ) │
├──────────────┤
│ 換気・空調(健康維持) │
├──────────────┤
│ 日射設計・庇 │
├──────────────┤
│ メンテ性(長寿命) │
└──────────────┘

👉 「高気密高断熱=必須」ですが、それだけに偏ると“夏ムシムシ、冬乾燥”のような不快感が残ることも。換気・日射設計・耐震性とセットで考えることが重要です。


4. 外壁材の比較(サイディング vs ガルバリウム鋼板)

外壁は家の印象を決めるだけでなく、
メンテナンス周期や費用にも大きく関わります。

項目窯業系サイディングガルバリウム鋼板
耐久性15〜20年で塗装や張替えが必要20〜30年で再塗装、錆対策が必要
メンテナンス周期約15〜20年ごと約20〜25年ごと
初期費用比較的安価(㎡あたり4,000〜7,000円)中程度(㎡あたり6,000〜9,000円)
デザイン性タイル調・石目調など多彩シンプル・シャープな外観
重量重め(耐震に不利になる場合も)軽量(耐震に有利)
断熱性素材自体は低いが外壁下地で調整同様に下地次第で調整

👉 サイディングはコスト重視、ガルバは軽量で耐震に有利。 ライフサイクルコストまで含めて選ぶのがポイントです。


5. 日射コントロールの工夫

高気密高断熱の住宅ほど、
「窓と太陽の関係」が暮らしやすさを左右します。

  • 南面窓に庇60cm以上 → 夏は日差しを遮り、冬は光を取り込む

  • 東西窓 → Low-Eガラスや外付けブラインドで日射を制御

  • 窓配置 → 南面中心、北面最小にすると冷暖房効率が高まる

👉 断熱材だけでは補えない「自然エネルギーとの付き合い方」が大切です。


6. メンテナンス費用の目安(50年住んだ場合)

部位標準的な交換周期費用の目安
外壁(サイディング)15〜20年ごと100〜200万円/回
外壁(ガルバ鋼板)20〜25年ごと80〜150万円/回
屋根(スレート)20〜30年80〜150万円
サッシ・窓まわり30〜40年100万円〜
設備(給湯器など)10〜15年20〜40万円

👉 外壁材の選び方ひとつで、将来のランニングコストが大きく変わります。


住まいづくりの必要基準は

  • 耐震等級3は必須(命を守る性能)

  • 断熱はHEAT20 G2(UA値0.46程度)、気密はC値0.7以下

  • 高気密高断熱=必須。ただし、それだけに偏らず、換気・日射・メンテナンス性まで含めて考えることが大切

  • 外壁はサイディング=安価だがメンテ多め、ガルバ=軽量で耐震に有利

  • 50年後を見据えて、メンテナンス費用まで含めた総合判断が必要


📌 住まいづくりとは
家づくりでは「性能数値」だけに
目を奪われがちですが、
高気密高断熱を土台にしながら、
耐震・日射・外壁・メンテナンスまで
トータルで考えること
が、
長く安心して暮らせる家につながります。

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