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グラスウールのメリット・デメリット徹底解説

寒い季節や暑い季節に向けて、
家づくりを考えるときに真っ先に思い浮かぶのが
「どんな断熱材を使うか」という点です。

今回は、数ある断熱材の中でも
非常にポピュラーで、長年にわたり
使われ続けている「グラスウール」について、
メリット・デメリットを詳しく解説していきます。


グラスウールとは?

グラスウールは、ガラス繊維を細かく
加工して作られる断熱材で、
もともとは家庭用としてはあまり
使われなかったものの、
ある時期から断熱材としての
採用が進みました。

基本的かつ身近な素材として、
現場でもよく見かける存在です。


グラスウールのメリット

1. 優れたコストパフォーマンス

  • 性能あたりの低価格
    グラスウールは、価格が安いだけではなく、求める断熱性能に対して非常にリーズナブルなコストで提供されます。たとえば、グラスウールのコストを基準にすると、ウレタン発泡は約1.5倍、セルロースファイバーは約2倍、フェノール系ボードは3~4倍の価格となります。

  • 現場での使いやすさ
    ハサミやカッターで簡単に加工でき、軽量なため、施工がスムーズです。職人さんの手間を省ける点も、コストパフォーマンスの高さにつながっています。

2. 不燃性と耐久性

  • 不燃性
    グラスウールはガラス繊維でできているため、燃えにくく、火事の際のファイヤーストップ施工にも利用されています。これにより、火の拡大を防ぐ効果があります。

  • 経年劣化が少ない
    ガラスそのものの性質から、長期間にわたって性能が維持されやすく、劣化が少ないというメリットがあります。実際、ガラスのコップがほとんど傷むことがないのと同様です。

3. 長い歴史と実績

  • 実績のある素材
    グラスウールは、断熱材として長い歴史を持っており、何が起こるかがよく知られています。多くの技術者や現場のプロフェッショナルがその特性を熟知しており、安心して使用できる素材です。

4. 吸音効果と環境への配慮

  • 高い吸音効果
    繊維構造のため、音を吸収する性能にも優れており、防音材や吸音材としても利用されます。

  • 環境に優しい
    ガラスは自然由来の素材であり、発がん性のリスクも低いとされています。また、リサイクルが可能なため、環境負荷の軽減にもつながります。


グラスウールのデメリットと施工上の注意点

1. 施工時の注意点

  • 袋入りグラスウールの課題
    多くのグラスウールは袋に包まれていますが、この袋は防湿層としての役割も果たします。しかし、袋に包まれているために、現場での加工時にうっかり小さく切りすぎてしまい、隙間ができる恐れがあります。断熱や気密性能に関する知識不足で、施工ミスが起こることも指摘されています。

2. 湿気や雨水の影響

  • 水分による性能低下
    グラスウールが湿気や雨水にさらされると、その断熱性能が著しく低下してしまいます。対策として、適切な気密シートや透湿防水シートを使用し、湿気が侵入しないようしっかりと施工する必要があります。

3. 熱橋の問題

  • 断熱性能のムラ
    壁体内でグラスウールが充填されていても、柱や間柱などの木材部分は断熱性能が低く、これが熱橋(温度差を伝える部分)として機能してしまうことがあります。

4. 施工環境の配慮

  • 水蒸気管理の重要性
    室内から発生する水蒸気が、気密シートの向こう側に侵入し、石膏ボードの裏などで結露を引き起こす可能性があります。これを防ぐために、気密シートと透湿防水シートの機能が正しく発揮されるよう、細心の注意が必要です。

高性能グラスウールの進化

昔は、グラスウールはチクチクして
扱いにくいという評価がありました。

実際、昔は雨具を着用し、ゴム手袋を使って
直接肌に触れないように作業していた
というエピソードもあります。

しかし、近年は細繊維化の技術が進歩し、
チクチク感が大幅に軽減されました。

さらに、以下のような点で進化が見られます。

  • 直接確認が可能な無袋タイプ
    最近では、袋入りではなく無袋のグラスウールが使われるケースも増えており、現場での切断ミスや凹みなどを目視で確認しやすくなっています。

  • 密度の種類と性能向上
    グラスウールには16K、20K、24K、36Kなどの密度があり、密度が高いほど断熱性能が向上します。例えば、一般的な16Kでは熱伝導率が約0.038W/mKですが、24Kでは0.036W/mK、36Kでは0.032W/mKとなり、同じ厚みでもより優れた断熱効果が期待できます。

  • 施工の手間が少なく、性能が安定
    高性能グラスウールは、従来のものよりも弾力性や剛性が向上しており、落下やずれが起きにくくなっています。これにより、施工時の失敗リスクが低減されています。


グラスウールは

グラスウールは、コストパフォーマンスの高さ、
不燃性、長い実績、吸音効果、
そして環境に優しいといった
多くのメリットを持つ断熱材です。

しかし、一方で施工時の注意点や
湿気・熱橋問題など、
デメリットも存在します。

これらのデメリットは、
適切な施工方法や防水対策、
通気層の確保などで十分に対策可能です。

現場での実践と技術の進歩により、
グラスウールは今や非常に使いやすく、
性能も安定している素材です。

これから家づくりやリフォームを考える方は、
グラスウールの特性と施工ポイントを
しっかりと理解し、最適な断熱対策を
検討してみてください。

現場での最新の技術と知識を取り入れることで、
コストパフォーマンスと性能の両立が
実現できるでしょう。

ぜひ、今回の解説を参考に、
理想の住環境づくりにお役立てください。

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