寒い季節や暑い季節に向けて、
家づくりを考えるときに真っ先に思い浮かぶのが
「どんな断熱材を使うか」という点です。
今回は、数ある断熱材の中でも
非常にポピュラーで、長年にわたり
使われ続けている「グラスウール」について、
メリット・デメリットを詳しく解説していきます。
グラスウールは、ガラス繊維を細かく
加工して作られる断熱材で、
もともとは家庭用としてはあまり
使われなかったものの、
ある時期から断熱材としての
採用が進みました。
基本的かつ身近な素材として、
現場でもよく見かける存在です。
性能あたりの低価格
グラスウールは、価格が安いだけではなく、求める断熱性能に対して非常にリーズナブルなコストで提供されます。たとえば、グラスウールのコストを基準にすると、ウレタン発泡は約1.5倍、セルロースファイバーは約2倍、フェノール系ボードは3~4倍の価格となります。
現場での使いやすさ
ハサミやカッターで簡単に加工でき、軽量なため、施工がスムーズです。職人さんの手間を省ける点も、コストパフォーマンスの高さにつながっています。
不燃性
グラスウールはガラス繊維でできているため、燃えにくく、火事の際のファイヤーストップ施工にも利用されています。これにより、火の拡大を防ぐ効果があります。
経年劣化が少ない
ガラスそのものの性質から、長期間にわたって性能が維持されやすく、劣化が少ないというメリットがあります。実際、ガラスのコップがほとんど傷むことがないのと同様です。
高い吸音効果
繊維構造のため、音を吸収する性能にも優れており、防音材や吸音材としても利用されます。
環境に優しい
ガラスは自然由来の素材であり、発がん性のリスクも低いとされています。また、リサイクルが可能なため、環境負荷の軽減にもつながります。
昔は、グラスウールはチクチクして
扱いにくいという評価がありました。
実際、昔は雨具を着用し、ゴム手袋を使って
直接肌に触れないように作業していた
というエピソードもあります。
しかし、近年は細繊維化の技術が進歩し、
チクチク感が大幅に軽減されました。
さらに、以下のような点で進化が見られます。
直接確認が可能な無袋タイプ
最近では、袋入りではなく無袋のグラスウールが使われるケースも増えており、現場での切断ミスや凹みなどを目視で確認しやすくなっています。
密度の種類と性能向上
グラスウールには16K、20K、24K、36Kなどの密度があり、密度が高いほど断熱性能が向上します。例えば、一般的な16Kでは熱伝導率が約0.038W/mKですが、24Kでは0.036W/mK、36Kでは0.032W/mKとなり、同じ厚みでもより優れた断熱効果が期待できます。
施工の手間が少なく、性能が安定
高性能グラスウールは、従来のものよりも弾力性や剛性が向上しており、落下やずれが起きにくくなっています。これにより、施工時の失敗リスクが低減されています。
グラスウールは、コストパフォーマンスの高さ、
不燃性、長い実績、吸音効果、
そして環境に優しいといった
多くのメリットを持つ断熱材です。
しかし、一方で施工時の注意点や
湿気・熱橋問題など、
デメリットも存在します。
これらのデメリットは、
適切な施工方法や防水対策、
通気層の確保などで十分に対策可能です。
現場での実践と技術の進歩により、
グラスウールは今や非常に使いやすく、
性能も安定している素材です。
これから家づくりやリフォームを考える方は、
グラスウールの特性と施工ポイントを
しっかりと理解し、最適な断熱対策を
検討してみてください。
現場での最新の技術と知識を取り入れることで、
コストパフォーマンスと性能の両立が
実現できるでしょう。
ぜひ、今回の解説を参考に、
理想の住環境づくりにお役立てください。