免震装置って効果あるの？木造住宅との相性は？

これまで耐震・制振・免震の

全体像や制振装置の

選び方について

お伝えしてきました。

 

今回は「免震」について、

その効果と木造住宅との

相性について解説します。

 

免震は地震の力を建物に

伝えない構造で、

地震対策として非常に

優れています。

しかし、私は木造住宅には

あまり向いていないと

考えています。

 

その理由をこれから

説明していきます。

 

免震・制振・耐震のおさらい

• 耐震：家を固く作って地震に耐える

• 制振：地震の力を吸収する

• 免震：地震の力を建物に伝えない

基本は耐震構造に

制振装置や免震装置を

プラスする考え方です。

 

制振装置は「柔らかい」方が

耐震性能を守り続けられる

ということを以前お伝えしました。

 

建物の重さで変わる地震力と風圧力

建物の構造によって重さが異なり、

地震力や風圧力の影響も変わります。

• 木造：軽い → 地震力も風圧力も小さい

• 鉄骨造・RC造：重い → 地震力は大きい、風圧力は小さい

木造は軽いので、

地震力も風圧力も比較的小さく、

細マッチョのような構造でOKです。

一方、鉄骨造やRC造は

重いため地震力が大きく、

太マッチョのような頑丈な

構造が必要です。

免震装置が木造住宅に向かない理由

重い建物（鉄骨造・RC造）の場合、

地震力は非常に大きいため、

免震装置で揺れを伝えないように

することで効果を発揮します。

 

また、建物の重さに比べて

風圧力は小さいため、

風で免震装置が揺れて

しまう心配もありません。

しかし、木造住宅のように

軽い建物だと、免震装置を

効果的に機能させるには、

装置を「柔らかく」設定

する必要があります。

 

これが問題を引き起こします。

 

木造住宅の場合、地震力と

風圧力はほぼ同じ大きさです。

 

そのため、地震の揺れを

吸収する柔らかさに

設定した免震装置は、

風圧によっても

揺れてしまうのです。

地震の時は地面が揺れ、

免震装置によって建物は

揺れません。

 

しかし、風の時は地面は揺れず、

風圧によって建物自体が

免震装置の上で揺れてしまう、

という現象が起こり得ます。

 

木造住宅には制振がおすすめ

このように、地震力と風圧力の

大きさが近い木造住宅では、

免震装置は効果的に

機能しにくい場合があります。

 

そのため、木造住宅には

免震よりも制振の方が

適していると考えられます。

もちろん、RC造のように

重く頑丈な木造住宅であれば、

免震装置も有効に機能

する可能性があります。

 

しかし、一般的な木造住宅では、

コストや効果のバランスを考えると、

制振装置の方が適していると言えるでしょう。