松尾メソッド
家づくりブログ

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耐震性能と余力について考える

先日、構造塾の佐藤実先生が

危機感を持って説明されていた、

2025年の建築基準法の

壁量計算に関する改正における

「耐震性能」と「余力」について、

少し難しい話になりますが、

かみ砕いてお伝えしたいと思います。

木造住宅の耐震設計

まず、木造住宅の耐震設計に

ついておさらいしましょう。

 

住宅の設計では、

建物が「損傷しないかどうか」

という基準に基づいて

構造が設計されます。

 

ここで言う「損傷しない」

というのは、住宅の構造部分、

例えば筋交いや梁(はり)、

接合部などが壊れないことを意味します。

建物の耐震設計には、

耐力壁(たいりょくかべ)

と呼ばれる地震に耐えるための

壁の量を計算し、

設計に取り入れます。

 

震度5強程度の地震では、

損傷せずに住み続けられる

性能が求められます。

 

これは繰り返しの地震に

耐えるための設計でもあります。

大地震への対応

では、震度6や震度7のような

大きな地震が来た場合は

どうでしょうか?

 

この場合、設計された耐力壁や

余力部分が全力で働き、

家が倒壊するのを

防ぐよう設計されています。

 

もちろん、これは1回限りの対応で、

家が傾くことはあっても、

人の命を守るために

倒れないように設計されています。

つまり、住宅の耐震設計は、

損傷を防ぐ設計と

倒壊防止の設計を同時に

行っているのです。

 

震度5強の地震で

損傷しないことが求められ、

その先にある震度6や7の地震で

倒れないための「余力」を

持たせた設計となっています。

建築基準法の改正(2025年)

しかし、2025年4月1日から

建築基準法が改正され、

耐震性能の基準が

見直されることになります。

この改正では、従来計算に

含められなかった余力部分も

計算に含めることが

できるようになります。

 

これにより、今までと

同じ建物でも、余力を

活用することで新しい基準を

クリアすることが

可能になるのです。

この改正により、耐震性能が

上がったように見える一方で、

実際には壁の追加などをしなくても

計算上クリアできるケースが

増える可能性があります。

 

これにより、設計が経済的に

見えるかもしれませんが、

実際には耐震性能が本質的に

向上しているとは限りません。

余力を使い切る危険性

余力を計算に含めてしまうと、

震度5強の地震で使い切って

しまう恐れがあります。

 

これにより、震度6強や7の地震に

対する倒壊防止性能が低下し、

家が倒れたり、補修が困難に

なったりするリスクが高まります。

本来、耐震性能を高めるためには、

純粋に壁などを増やして

強くする必要があるのですが…。

 

にもかかわらず、 耐震性能が

上がった設計に変わったけれど、

壁を1枚も増やさなくても、

余力を使い切って計算を

クリアさせましたって、

経済的なことになりました

みたいな危険な計算結果が

出てきそうですね。

 

全くの勘違いですけど。

 

結局その震度5強レベルで

余力を使い切る設計をすると、

震度6強から7の倒壊防止性能が、

かなり低いレベルまで下がって

くる心配が大きくなります。

 

本当に1度だけ倒れずに

いられる状況なのかという心配です。

 

設計者は余力を

計算に含めた設計に頼らず、

余力を使い切らないような

設計を心掛ける必要があります。

 

余力を残しておくことで、

震度6強の地震が来ても倒壊を防ぎ、

大きな損傷を回避できる可能性が高まります。

最後に

今回の話は少し難しい内容でしたが、

耐震性能と余力の使い方に

ついて考えてみました。

住宅を設計する際には、

余力をうまく活用しつつ、

経済性だけにとらわれない

安全な設計を心がけるように

したいと考えています。

 

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