松尾メソッド
家づくりブログ

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制振装置の進化と未来への展望:制振システムが守る私たちの命と生活

前回、予告させて頂いた

2種類の制振装置の

正しい選び方は存在するのか、

という話題に入る前に、

私がお世話になっている

構造塾の佐藤実先生が、

制振装置についてお話しされたことを、

みなさんと共有したいと思います。

制振装置は工法を超えて

構造塾の佐藤実先生は、

下記のように述べられています。

 

『制振装置は単なる工法の役割を超え、

「国民の命を守り、生活を幸せな状態に保つための仕組み」

へと発展していると考えます。

 

制振装置は耐震等級3の住宅を

さらに守るための手段として

機能するだけでなく、

私たちの生活そのものを

保護する役割を果たしています。』

まさに、私も共感しています!!

 

つまり、

家族と財産を守る住まいには、

許容応力度計算による

耐震等級3の構造が必須であるだけでなく、

その構造にさらに安心を与える制振装置は、

私たちの暮らしを永く守ってくれる

無くてはならない仕組みであると。

 

では、本題です。

変異依存型と速度依存型のダンパー

住宅に使われる制振装置は、

主にフレーム内部に設置される

ダンパーが中心です。

 

このダンパーには大きく分けて

「変異依存型」と「速度依存型」の

2種類があると前回お伝えしました。

  • 変異依存型: 建物が変形するときにダンパーが機能し、地震の力を吸収します。建物のフレームの変形に伴って、ダンパーが反応し、建物を守る役割を果たします。⇒主に合成ゴム系ダンパー

  • 速度依存型: 地震時に建物の揺れの速度に反応して機能するダンパーです。建物がガタガタ揺れる際、その揺れの速さに応じて吸収力が増し、揺れを和らげます。⇒主にオイル系ダンパー仕様

 

合成ゴムを使用した制振部材と

オイルダンパーを使用した制振部材には、

それぞれ異なる特性があり、

メリット・デメリットがあります。

1. 合成ゴムを使用した制振部材(代表的な商品の画像)

 

メリット

  1. 高いエネルギー吸収能力:合成ゴムは柔軟性に富んでおり、変形することで揺れのエネルギーを吸収しやすいです。特に低速や長周期の揺れに対して有効で、振動を効果的に減衰させます。

  2. 軽量:合成ゴムは非常に軽量な材料で、建物の構造にほとんど負担をかけることなく、制振性能を向上させることが可能です。特に、住宅や小規模な建物に適しています。

  3. 柔軟性:合成ゴムは非常に柔らかいため、建物が揺れた際に滑らかに変形し、その変形によって揺れを効果的に吸収します。建物の全体的な揺れを軽減し、しなやかな動きを提供します。

デメリット

  1. 経年劣化:合成ゴムは時間の経過とともに紫外線、熱、湿気などによる影響で劣化しやすく、硬化したり、ひび割れたりする可能性があります。劣化が進むと制振性能が低下するため、定期的な点検や交換が必要です。

  2. 温度依存性:合成ゴムは温度変化に弱く、高温や低温環境では弾力性が変わる可能性があります。これにより、極端な気温下で制振性能が不安定になることがあります。

  3. 強度の限界:合成ゴムは圧縮や引っ張りに対する強度が鋼材やオイルダンパーに比べて劣るため、特に大きな揺れや強い力が加わる環境には適していません。大規模建築には不向きです。


2. オイルダンパーを使用した制振部材(代表的な商品の画像)

メリット

  1. 高いエネルギー吸収能力(速度依存型):オイルダンパーは揺れの速度に応じてその抵抗力を変化させます。揺れが速くなるほどオイルの粘性が増して大きなエネルギーを吸収するため、地震などの激しい揺れに対して非常に効果的です。

  2. 長寿命で劣化が少ない:オイルダンパーは、比較的劣化しにくいシステムで、長期間にわたって安定した性能を発揮します。適切な設置を行うことで、長寿命な制振装置となります。

  3. 大規模建築に適している:オイルダンパーは、強い揺れにも対応できるため、大規模な建築物や高層建物に適しています。鋼材と組み合わせて使用されることが多く、耐震性や制振性能を強化します。

  4. 温度変化に対する耐性:オイルダンパーは温度変化に対して比較的安定しており、極端な環境下でもその性能を維持しやすいです。温度に依存する性質が少ないため、さまざまな気候条件で効果的に機能します。

デメリット

  1. 設置が複雑:オイルダンパーは設置が複雑で、初期コストが高くなる場合があります。また、適切な性能を発揮させるために専門的な設置作業が必要となることが多いです。

  2. 重い:オイルダンパーは比較的重量があり、特に住宅や小規模建築では建物の構造に負担をかける可能性があります。基礎や支持構造がそれに対応できる設計が必要です。

  3. 高コスト:オイルダンパーは高度な技術を要するため、初期導入コストが高くなることが一般的です。


綜合的な判断は?

  • 合成ゴムを使用した制振部材は、軽量で柔軟性があり、低コストで住宅などの小規模建築に適しているものの、経年劣化や温度変化に弱く、耐力が限られています。

  • オイルダンパーを使用した制振部材は、速度依存型で強い揺れを効率よく吸収し、大規模建築や高層建物に適していますが、設置が複雑でコストが高く、重量がある点がデメリットです。

制振装置の効果と選び方

制振装置を選ぶ際には、

その有効性をどこに置くかが重要です。

 

耐震等級3を標準として、

その上に制振装置を追加することで、

建物の揺れを抑え、

耐震性能のをさらに

向上させることができます。

例えば、佐藤実先生によると、

速度依存型ダンパーは、

震度5強、震度6、震度7の

大地震の揺れを小さくする

ことは当たり前で、

大きな揺れだけでなく、

揺れ始めのガタガタという

小さな揺れの時点から、

揺れ幅を減らし、

耐震等級3の建物を

より柔らかく揺らすとの事。

 

棚の上の置物や人形の落下を防ぎ、

天井から釣り下がっている

照明器具の揺れを小さくして、

安心感を与えながら、

その性能を最大限に

発揮させるという事ですね。

これに対して、変異依存型のダンパーは

壁倍率を増やし、

建物をさらに硬くすることで

耐震等級4や5に相当する強度を

持たせる事が目的です。

 

両方の制振装置の性能を一つの図で表すとこんな感じです!

両者の明らかな違いは、

揺れを抑える効果が

出始めるタイミングですね!!

 

オイル系ダンパーは、

揺れを感じ始める初期から

減衰力を発揮し始め、

合成ゴム系ダンパーは、

倒壊ゾーンの時点で

最大の減衰力を発揮します。

制振効果の得られるタイミングが全く異なる事、それが一番の違いです!

速度依存型の制振装置の推奨

私たちが推奨する制振装置は、

速度依存型の制振装置です。

 

この装置は、耐震等級3の住宅において、

地震時の揺れを効率よく吸収し、

建物の損傷を軽減することに特化しています。

 

日本で発生している地震の

約90%が震度5以下です。

 

震度6や震度7の大地震の揺れを

抑えることは当然ですが、

頻繁に発生する震度2や震度3、震度4の揺れにも

充分な制振効果を発揮して揺れを抑え、

家族に安心を与えてくれる

速度依存型制振装置(オイルダンパー系)を推奨します。

 

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